奇跡の湿地「つながりの花」満開 人々が紡ぐ心の水源公園

春の日差しの中、多世代の人々が白やピンク色の花が咲く湿地の小径を笑顔で歩いている様子。 湿地
奇跡の花道で微笑みながら歩く人々の姿が春の公園に彩りを添えています。

かつては荒れ地だった東北地方の湿地帯が、今では「奇跡のつながり湿地公園」として色とりどりの花々と笑顔に包まれている。水源保護の取り組みが始まってから5年、地元住民や子どもたち、エコツーリズムに訪れる旅行者まで、世代も国籍も超えた人々の手で守られてきたこの湿地で、小さくて優しい奇跡が次々と起きている。

公園の中心に咲くのは、地元の高校生ボランティアグループ「みずばしょうの会」が植え続けてきた、純白のミズバショウと淡いピンクのサクラソウ。リーダーの佐伯瑛斗さん(17)は、「最初は雑草だと思われていた湿地ですが、ここが町のみんなの“心の水源”になればと活動してきました」とほほ笑む。周辺のカフェオーナー、五十嵐瑞恵さん(45)も「この湿地を訪れる人が休憩がてらゴミを拾ってくれたり、道がぬかるんでいたらさっと木切れを並べてくれる。そんな温かい光景が毎日のように見られるようになったんです」と目を細める。

最近注目されているのが、春先にだけ現れる“奇跡の花道”。これは、湿地の水質浄化実験の一環で、地元大学が花粉の流れを観察できるように植生を調整したところ、前年の小学生たちが願いごとを込めて植えた種が偶然にも一直線に咲きそろい、幅2メートルの美しい花の小径となったもの。「歩くと、なんだか大切な人とつながっている気持ちになる」とSNSでも話題になり、「#つながり花道」のタグが春の名物になっている。

湿地にはカワセミやタヌキなど多様な生き物が戻り、専門家の蓑田登志夫氏(環境科学研究所)は「人と自然とのあたたかな関わりが、この湿地の浄化能力を最大限引き出している」と評価する。さらに、子供たちが描いた動物たちのイラスト案内板や、手作りの小さなホタル観察台など、住民のアイデアが次々と形になっているのも特徴だ。

今では、年間3万人以上が訪れるこの湿地公園。その一角には「みんなの思い出ノート」が置かれており、散歩中に見つけたお気に入りの生き物や、知らない人と交わしたあいさつのエピソードがぎっしりと綴られている。地元の小学生・片桐湊君(9)は「来てくれた人がニコニコしていると、ぼくまでうれしくなる」と話す。自然と人とがたしかにつながる場所となったこの湿地—その美しい花々は、今年もやさしい笑顔を咲かせている。

コメント

  1. 子どもたちと一緒に何度か公園に遊びに行きました。自然を守りながら、みんなが協力して作り上げている温かさに感動します。次は子ども達に“つながり花道”を歩かせたいです。こんな素敵な場所がずっと続きますように!

  2. 私は地元の者です。昔の荒れ果てた湿地を知っているので、今の変わりようが信じられません。町の誇りですね。若い人たち、子どもたち、皆で大切に育ててくれて感謝しています。いつかこの奇跡が他の町にも広がるといいな、と願っています。

  3. 花の小径、写真でしか見たことないけど実際に歩いてみたい!人と自然、そして様々な世代や国の人が関われるって最高に素敵。ボランティア活動、私も何か力になれたらいいなあ。

  4. いつもカフェ帰りにフラッと寄ってます。知らない人と挨拶したり、動物たちを一緒に探したり、ほんと平和な空気が流れていて最高です。“思い出ノート”読むのも楽しみのひとつ。心がほっとする場所、ありがとう!

  5. 昔はあの辺で遊ぶこともできませんでしたが、今は花や鳥、みんなの笑顔があふれる明るい場所になって本当にうれしいです。元気を分けてくれる公園に、お礼を言いたい気分です。時間をかけて守ってくれている皆さん、応援していますよ。