絶滅危惧種が戻る奇跡の湿地 地域住民の優しさが生んだ自然保護区

木道を歩きながら湿地でごみ拾いや植栽活動をしているさまざまな世代の人々の様子。 自然保護区
地域の人々が協力して再生した水穂湿地の自然保護活動の様子。

かつて土地改良や自然災害で失われかけていた千葉県北部の広大な湿地が、人と自然の小さな絆から新たな命のゆりかごへと生まれ変わりました。絶滅危惧種の動植物が続々と戻り、地域に笑顔と誇り、そして希望をもたらしています。

千葉県北部の「水穂湿地自然保護区」。ここはひと昔前まで水田と埋立地に挟まれ、渡り鳥の姿もほとんど見なくなっていました。しかし、一人の郵便配達員、佐久間志保さん(41)のほんの小さな気づきが、この地を大きく変えました。「毎朝通る道で、倒れた葦のあいだから小さなサギの鳴き声が聞こえたんです。どうにか守ってあげたくて」。思いをSNSに投稿すると、やがて保育園児からお年寄りまで、多世代の住民がゴミ拾いや在来植物の苗植えに自然と集まりました。

保護活動はやがて『ミズホ・エコツーリズム・プロジェクト』となり、湿地には木道や観察小屋が整備されました。湿地の再生を目指して、住民有志と専門家の連携が続きました。「珍しいカスミサンショウウオやタカブシギが戻ってきたのは本当に感動的でした」と語る生態学者の畑本友輝さん(52)。水質浄化や自然災害の緩和効果もみられ、保護区が目指す持続可能性への理解が地域に広がっています。

自然の回復力は、時に人々を驚かせてくれます。昨年の春には保育士の岡本未希さん(34)が園児たちと観察中、およそ50年ぶりに『ミズホツバメガエル』という絶滅危惧種を発見し、地元SNSとニュースで話題沸騰に。「うちの子どもが実際にカエルを見つけて目を輝かせていた。大事に守りたい場所ですね」と地域のお母さんたちから感謝の声が寄せられています。

保護区の活動は今や全国的な注目を集めるまでになりました。昨年度のエコツーリズム体験には2,000人以上が参加し、ツアーガイドの大学生、渡部凌太さん(19)は「ここでは動植物だけでなく、人の優しさや暮らしの知恵も伝えていきたい」と語ります。売上の一部は次世代のための環境教育や保護活動に還元され、訪れた家族のSNSでは「親子で小さな命を見つけ、幸せな気持ちになった」「こんな活動が全国に広がってほしい」といった投稿が相次いでいます。

湿地が再生する奇跡の裏には、ささやかな気づきや声かけ、小さな手のひらの力が積み重なっています。水穂湿地自然保護区が紡ぐ、いのちと優しさあふれるエコツーリズムの輪は、明日への希望も静かに育み続けているようです。

コメント

  1. 記事を読んで、あたたかい気持ちになりました!うちの子も自然や生き物が大好きなので、今度家族で水穂湿地に行ってみたいです。こども達がこういう場所でたくさんの命に触れられるの、本当にありがたいです。活動されている皆さんに感謝します!

  2. 私は近くに住む高齢者ですが、最近この湿地を散歩するのが楽しみになっています。昔はこの辺りも自然がいっぱいでしたが、またカエルや鳥が戻ってきて懐かしい気持ちです。地域の皆さんの力でこんなに素晴らしい場所になって嬉しいです。

  3. 学生として、実際に保護活動の現場にボランティアで参加させてもらいました!SNSもきっかけになって、みんなの優しさが一つになった感じがします。生き物たちと、人とのつながりをこれからも広げていきたいです!

  4. 毎朝ウォーキングコースにしてます。小さな気づきから始まった物語、本当に素敵ですね。子どもからお年寄りまでみんなで力を合わせているのを見ると、うちの町もまだまだ捨てたもんじゃないなって思えます。

  5. こういう記事もっと読みたいです!自然と人が共に生きていくってやっぱり大事ですよね。これをきっかけに、うちの孫も自然に目を向けてくれると嬉しいな。水穂湿地の取り組み、全国に広まれ!