ARベンチがつなぐ街の輪、新しい技術がもたらす優しい日常

駅前広場のベンチに座り、ARグラスを装着して微笑み合う異世代の女性二人の写真です。 テクノロジーの進化
ARベンチが地域の人々に新しい出会いとやさしい時間をもたらしています。

駅前広場に設置された一脚の『ARベンチ』が、思いがけず地域の人々をつなげる場所となっている。厚木市中心部にある駅前公園の角に設置されたこのベンチは、最新のAR(拡張現実)技術と5G回線によって、毎日ちょっとした“奇跡”ややさしい出会いを生み出している。

今年春、マチコトプロジェクトによって試験的に設置された「みんなの交流ARベンチ」は、座るとARグラスを通して『ご近所さんの日記』や『街のものづくりストーリー』、『忘れられたお祭りの思い出』など、地域住民がブロックチェーンを利用して安全にシェアした“小さな物語”が次々映し出される仕組み。ベンチに座った主婦(39)、矢吹七海さんは「このベンチで、引っ越してきたばかりの私と話しかけてくれたおばあちゃんが同じチューリップ畑のAR写真を見て盛り上がり、今では一緒にお茶を飲む仲になりました」と微笑む。実名ではなくニックネームと年代のみが表示されるため、初対面でも安心して会話できるのが特徴だ。

さらに、ARベンチには「ありがとうボタン」が搭載されており、AR体験中に心温まったストーリーや親切な行動に出会うとボタンを押して感謝のメッセージを贈信できる。エンジニアの安住晴斗さん(28)は、「普段は照れくさくて言えない『ありがとう』の気持ちを、AR空間越しに気軽に伝えられるのがいい。学生さんが落とし物を見つけてくれた時も、このボタンで感謝を伝えました」と語る。最近では、この「ありがとう」の数が多いベンチ利用者のストーリーがAR上で特集され、地域の“ほっこりヒーロー”として話題になっている。

また、ARベンチでは毎週末、ブロックチェーン認証された「街の昔ばなしライブ」が開かれている。町の工場で働く藤枝信介さん(54)は、孫と一緒に参加して「小さい頃に祖母が話してくれた『でんでん池のカッパ』の話が、最新AR技術で目の前に現れた時は思わず涙が出ました。孫と昔の話を共有できて嬉しい」と感動を語る。ライブイベントは全国のARベンチネットワークでも同時配信され、遠く離れた親戚や友人同士が離れていても笑顔で交流できる小さなお祭りとなっている。

このベンチを日々メンテナンスするスタッフ、松川澪さん(25)は「最初はデジタルに慣れないご年配の方が心配そうでしたが、若い人が座ると自然と説明を始めて、世代を越えた会話が生まれています。ARや5Gって最先端だけど、人と人がふれあうきっかけになっているのが一番嬉しい」と話す。

SNS上でも「ARベンチで新しい友達ができた」「久しぶりに泣けた話を聞いた」「ありがとうボタンで元気が出た」といった感想が多く寄せられている。最新テクノロジーがもたらすのは効率や便利だけでなく、思いもよらぬ優しい偶然と地域の絆。これからもこのベンチが、多くの人の心にあたたかい“居場所”を作り続けてくれそうだ。

コメント

  1. 子育て中の母です。最近駅前でこのARベンチに子どもと一緒に座りました。普段はなかなかママ友以外と話す機会がないのですが、ベンチがきっかけでご近所のおじいちゃんと昔の公園の話で盛り上がれました。『ありがとうボタン』で気持ちを伝えるのも楽しくて、子どもも大喜びでした。心温まる仕組みに感謝です。

  2. 先日初めてARベンチを利用しました。正直、最初は使い方にドキドキしましたが、近くの学生さんが丁寧に教えてくれて安心して過ごせました。若い方たちと世間話できて、なんだか若返った気分です。デジタルも悪くないなぁ、と嬉しくなりました。

  3. 一人暮らしで地元に友達が少なかったんですが、ARベンチで色んな人と自然に話せるのがすごくありがたいです!共通の思い出やストーリーで盛り上がれるし、知らない人とでも『ありがとう』のやり取りができると前向きな気持ちになります。こんな場所、もっと増えたらいいな〜。

  4. 毎朝、駅前公園を散歩していますが、最近ベンチから聞こえてくる笑い声をよく耳にします。ARとか難しそうと思っていましたが、みんなが楽しそうならちょっと勇気出して座ってみようかな。街が少しずつ明るくなってきて、なんだか嬉しいです。

  5. 自分もエンジニアなので、こういう技術が地域のふれあいや温かい体験につながるってすごく素敵だなと思いました。ARとか5Gって、効率よりもこうやって人の心を動かす使い方こそが一番イイ!自分も今度子どもと一緒に体験してみます!