1000本のふな樽で「エコブリッジ」完成 町民が手を取り合い川をつなぐ

ふな樽を再利用した歩道橋の上を、地元住民や子どもたちが笑顔で歩く様子。 サステナビリティ
ふなエコブリッジを行き交う町の人々が新しい絆を育んでいます。

使われなくなったふな樽が町の誇りに――。徳島県北部を流れる大河をまたぐ全長56メートルの歩道橋“ふなエコブリッジ”が、地元住民の力で完成し、町に新しい絆をもたらしている。

四季の移ろいを映す清流。その中州にそびえる新しい橋は、遠目にもひときわ目を引く。手すりや主な構造部材には、地元の老舗酒造が廃棄予定だった “ふな樽”1,000本が再利用されているのだ。発案者は木工職人の赤松春斗さん(46)。新型プラスチック材の普及で、山積みにされたふな樽を目にし「むしろ宝かも」と感じたという。

赤松さんのアイデアは瞬く間に町内外へ広がった。「古樽リユースで町おこしを」という声に、住民の結城真由美さん(主婦・39)や小学生たち、商工会の谷口直人さん(会社員・52)など、のべ600人以上がボランティアで参加。町唯一の高校からも有志が集い、磨き上げや防腐加工の作業が和気あいあいと進められた。漁師の白崎弘也さん(53)は「川を渡るのに新しい景色が生まれた」と目を細めた。

このプロジェクトのもうひとつの特徴は、地産地消の精神だ。保護塗料には地域産の柑橘の皮から作った天然オイルを使用。地元の廃材や竹も組み合わせ、強度と温もりを兼ね備えた。エネルギーは町の小水力発電所から供給し、作業中も環境負荷を最小限に。「自分の住む町らしい方法でサステナブルなものを作るって、すごく大きいですね」と高校生ボランティアの北條えみさん(17)はSNSで語った。

既に橋は、行き交う人のコミュニティスポットになっている。朝はウォーキング中の高齢者や子どもたちが笑顔で手を振り合い、午後にはベンチでエコ商品の即売会や近隣農家による地元野菜市も開催。週替わりの「ごみ拾いピクニック」はSNSでも話題だ。専門家の上村環境保全士(44)は「地域資源と人の思いが重なれば、サステナビリティの未来も身近になる」と話す。

「川の流れのように、地域の思いもずっと続けばいい」と赤松さん。ふなエコブリッジは、リサイクルの力とやさしさが生む小さな奇跡を今日もそっと支えている。

コメント

  1. 子どもと一緒に橋を渡りました!ふな樽の香りがほのかにして、なんだか懐かしい気持ちになりました。地域みんなで作った橋、子育て世代としてとても誇らしいです。素敵なニュースをありがとうございます。

  2. 最近の町は元気がないなぁと思っていたけど、みんなの力でこんな素晴らしい橋ができるなんて感動しました。昔の知恵と若い力が合わさると、こんなに温かいものになるんですね。

  3. エコとかリサイクルって、正直遠い話だと思ってたけど、自分たちも作業に参加できて楽しかったです!SNSでも友達が話題にしてて、町がちょっと自慢になりました。

  4. 毎朝、友人たちと橋を渡って散歩します。ふな樽のぬくもりが足元にも伝わるようで、心まで温かくなります。若い人や子どもたちの笑顔を見ると、本当に幸せな気持ちになりますね。

  5. こういう取り組みこそ、もっと他の町でも広まったらいいのに。地元野菜市も大盛況で、観光客の方も喜んでくれるのが嬉しいです!また新しいイベントも考えたいです。