瀬戸内海の“プレゼントボトル”作戦――地域みんなで海を笑顔に

瀬戸内海の海辺で透明なカプセル型ボトルを手に笑顔を見せる子どもと大人たちの様子。 サステナビリティ
“プレゼントボトル”を手に、瀬戸内海で未来へのメッセージを届ける人々。

持続可能な未来を願う人々のつながりが、新しいかたちの“優しさ”として海を包んでいます。瀬戸内海沿岸の企業と市民団体が協力し、海洋プラスチックごみを世界で初めて“幸せのプレゼント”に変えるプロジェクトが始動。サステナブルな生き方をめざす人々の心温まる取り組みが、全国で話題を呼んでいます。

かつて観光客も多く訪れる瀬戸内海。ただ、近年はプラスチックごみの流入が深刻な問題となっていました。そんななか建築家の神田誠一郎(42)は、地元の中学生たちの「海がきれいになったら素敵なのに」という声に心を動かされ、洋品メーカーのバーネット・エコサイクル株式会社、小学校PTA、漁協など約20の団体と共に『プレゼントボトル作戦』を発案。集まった海洋プラスチックごみを洗浄・粉砕し、透明なカプセル状の“プレゼントボトル”へアップサイクル。それぞれのボトルには、地元の小学生たちが描いたメッセージカードが封入されます――「見てくれてありがとう」「海を守る仲間になろう」など優しさあふれる言葉や絵が受け取る人に笑顔を届けます。

この“プレゼントボトル”は、瀬戸内海沿岸の飲食店や港の待合所、道の駅などで自由に持ち帰ることができます。さらに、リサイクルアートの素材としても無償提供され、高松市内のショッピングモールでは地元クリエイターや子どもたちで装飾された巨大イルカのオブジェが誕生。「海と町がつながった感じで、うれしい」と、近くのベーカリーで働く桐山美和(28)は語ります。「お客様がプレゼントボトルを選びながら、思い出を語ってくれて――店内も毎日あったかい空気になりました」

注目すべきは、この活動が再生可能エネルギーを活用して行われている点です。「海から運んだプラスチックごみは、太陽光発電で動く移動式リサイクルトラック内で処理しています」とプロジェクトのエンジニア青柳悠斗(35)。CO2排出を限りなく抑えつつ、移動式工房は週ごとに異なる地域を巡回。各地で「自分たちにもできる」と住民や子どもたちの参加が広がり、島々の絆もさらに深まっています。

SNSでは、ボトルを手にした人々がメッセージカードの写真を投稿し、「この優しさ、全国に広まればいいな」「もっと参加したい!」「私も海を守る仲間になります!」といった声が寄せられています。岡山大学海洋環境研究所の新谷恭子准教授(47)は、「子どもの発想と地域のつながりが、革新的なサステナビリティモデルを生み出しました」とコメント。瀬戸内海の青い海に浮かぶ“幸せのメッセージボトル”は、今日もたくさんの笑顔と優しさを運んでいます。

コメント

  1. 小学生の息子と記事を一緒に読みました!身近な海をきれいにしながら、みんなで力を合わせてこんな素敵な活動ができるなんて感動です。私たち親子も海のゴミ拾い、今度参加してみたいと思いました。

  2. 昔よく孫たちと瀬戸内海の浜辺で遊んだことが思い出されます。環境のことは難しく考えてしまうけど、こんな風に楽しく優しい方法で子どもたちが未来に関わっているのが素晴らしい。応援したくなりました。

  3. 学生目線でみても、こういうアップサイクルは本当に良いアイデアだなと思います。高校の文化祭でも何か真似できないかな?友達と相談してみたくなりました!

  4. うちのお店でもプレゼントボトルを置けたらいいなぁと思いました。お客さんたちとの会話がもっと広がりそう!地域みんなで海を大事にできたら嬉しいです。

  5. 最初はちょっと『綺麗事かな?』と疑ってたけど、記事を読んで子どもたちや大人のみんなが本気で取り組んでるのが伝わってきました。応援したくなる活動ですね!これからも続けてほしいです。