春の柔らかな日差しが住宅街を染め上げるある朝、山梨県甲府市の静かな団地に思いがけない季節の輪が広がった。今年で築30年になる「いすず台団地」では、住民によるユニークな“おうち花見”イベントが、町内の心温まる連鎖を生み出している。
きっかけは、団地に住む主婦(39)の野村ほのかさんが自宅のベランダから吊るした一輪の手作り桜ガーランド。長引く春の雨で恒例の花見が中止になり、「せめて花見気分だけでも楽しめたら」と作ったものだったが、そのあまりの可愛らしさに向かいの部屋の佐川悠真くん(小3)が「うちも作りたい!」と声を上げた。
この声に応じて、団地の管理人・中畑博史さん(58)が中心となり、急遽「おうち花見チャレンジ」が始動。各家庭が花飾りや折り紙桜で窓辺や玄関をデコレーションすることになった。中には鯉のぼりを窓から掲げる家や、トイレットペーパー芯で作った大きな恵方巻オブジェを飾る家も。「想像力が広がって、見て回るだけでわくわくする」と近隣住民の間で話題になり、毎日散歩をしながら“お気に入りの花飾り”をSNSで投稿する人も増えた。
イベントが進むごとに、手作りしめ飾りや十五夜のうさぎ団子、年越しそば型のリースまで、住民たちがこれまで体験した季節行事のアイディアを持ち寄るようになった。今年は初めて、元日には団地の庭先で「初日の出鑑賞会」も実施。子どもからお年寄りまで温かいお味噌汁を片手に夜明けを迎え、「みんなで一年を始められるのが何より嬉しい」と笑顔が広がった。
今回の活動について、近隣大学の季節行事研究家・石倉鈴子准教授は「小さなきっかけが地域全体の温かな連携を引き出すのは、日本の伝統文化の素敵な面。おうち花見のような工夫は、時代を超えて心の距離を近づけます」とコメントしている。来年は新しい住民も交えて“団地合同の十五夜お月見”や“全国ご当地年越しそば食べ比べ”も企画中。ご近所の小さな工夫と優しさが、日々の風景をほんの少しキラキラと彩っている。
コメント
小学生の息子と一緒に記事を読んでいました。手作りの桜ガーランド、とても可愛らしくて心が温かくなりました。子どもたちが自発的にアイディアを出せる空気が素敵ですね。私も今度こどもと折り紙で桜を作ってみようと思います。
懐かしいねえ、昔は町内会でいろいろ行事やったもんですが、最近はなかなか……この記事を見て、うちのアパートでも何かやってみようかと思いました。人と人のつながり、大事にしたいですね。
勉強でバタバタな日々ですが、こういうニュースにほっとしました!みんなでお味噌汁片手に初日の出なんて最高じゃん。大学の寮でも真似してみたくなりました。
いすず台団地のお隣に住んでいます。毎日散歩中に窓の飾りを見るのが楽しみになっています。季節ごとの工夫がとってもかわいくて、元気もらっています。うちも今度、何か一緒に参加してみたいです!
こういう幸せなニュース大好き!SNSでもみんなが自分のお気に入り飾りをシェアしてるっていいですね。創意工夫で毎日が特別になるなんて、魔法みたいです。もっと広がってほしいなぁ!