静岡県の山あいにある藤原村で、築120年の古民家旅館「桜葉庵」を舞台に、子どもたちが自ら描いた浮世絵風の絵を大人たちが着物に仕立てて着るという、心温まる行事が生まれました。村人たちの優しさと世代を超えた交流から生まれたこの催しは、SNSでも「まるで映画のよう」と反響を呼んでいます。
この新しい伝統が始まったのは、旅館の若女将・野上佳乃さん(42)が一枚の紙を旅館のロビーに貼ったことがきっかけでした。『あなたの描いた絵で、みんなの着物を作ってみませんか?』という一言に、常連客である村の児童たちが次々と自作の浮世絵を持ち寄り、やがて村全体を巻き込む大きな企画へと成長しました。「いつも大人たちの着ているきれいな着物、子どもたちの想像力で染めたいなと思ったんです」と佳乃さんは微笑みます。
集まった浮世絵の原画は全部で79点。どれも、山道を駆け下りる狸や、温泉街を見下ろす富士山、旅館名物の大きなだるまストーブなど、子どもらしい自由な発想に満ちています。その絵をもとに村の呉服職人・森下清徳さん(63)がひとつひとつ丁寧に型染めし、地元のおばあちゃんたちと協力して色鮮やかな着物として完成させました。「小さな手から生まれる世界には、大人の私たちも毎回驚かされます」と森下さんは語ります。
完成した着物は、旅館で開かれたささやかな祭でお披露目。子どもたちが自分の絵を纏った大人の姿に照れくさそうに見入る姿や、普段は無口な祖父と孫が「この鳥、僕が描いたんだよ」と自然に会話を始める光景も。SNSで写真が拡散され始め、「自分の住む町でもやってみたい」「子どもの芸術をみんなで大切にできる村がうらやましい」と全国からコメントが集まっています。
村の住民によると、今回の試みが地元の小さな工房や和裁教室にも新たな活気を呼び込んでいるとか。「子どもが描くことで、家族や地域の人たちが自然と集まり、想像もしなかった会話や優しさがあふれる空間になっています」と参加した主婦(36)。今後は、村外から訪れる観光客にも体験してもらえるよう、旅館での「浮世絵ぬりえ着物ワークショップ」を企画中とのこと。
佳乃さんは「これからも、この村で“みんなの思いが染められた着物の祭”が何代も続くとうれしい」と語ります。古き良き日本の伝統と子どもたちの自由な発想が出会い、旅館も村も一段とやさしい笑顔で包まれる季節がやってきました。
コメント
この記事、読んでいるだけで心がぽかぽかしました!うちの子もお絵かきが大好きなので、こんなふうにみんなで作品を着るなんて夢みたいです。親子で会話が増えそうですね。ぜひ藤原村に遊びに行ってみたいです!
昔は村のお祭りも子どもたちが主役だったなあ、と懐かしくなりました。今もこうして世代を超えて温かい関係が続いているのは本当に素晴らしいです。私も生きがいをもらいました。
めっちゃステキな取り組みですね!自分の描いた絵が本物の着物になるなんて、子どもたち絶対うれしいはず。SNSでバズってるのもうなずけます。ぜひ都会でもやってほしい…!
桜葉庵の前を通りかかったとき、色とりどりの着物を見て思わず足を止めてしまいました。賑やかな声が聞こえて、なんだか自分も若返った気分です。これからも続けてほしい行事ですね。
ぼくも絵を描くの好きです!自分の描いた動物が大きな着物になるなんて、想像したらワクワクします。こんなお祭り、ぼくの町でもやってみたいです。