「ここ、やっぱり残してほしいよね」。郊外の小さな通りに佇むカフェ「サンフラワーキッチン」は、開店から20年、近隣住民に愛され続けてきました。しかし老朽化とコロナ禍での売上減少により、店主の大石律子さん（53）は閉店の決意を固めていました。ところが先月、店に貼り出された“さよならのお知らせ”が、思わぬ心の連鎖を生み出すことになります。
「サンフラワーキッチンでの時間が、どんなに大切だったか、お客さまの言葉を聞いて初めて実感しました」と語る大石さん。昔通っていた高校生たちや近くの公園で働くシニアスタッフ、ささやかな読書会の常連たちまで――カフェの閉店を惜しむ声が続々と届きます。特に話題となったのは、律子さん自慢の“ひまわりサンド”。分厚い卵と自家製のひまわりドレッシングの香りは、一度味わった人々の心に深く刻まれていました。
そんな中、常連のITベンチャー社員・坂本蓮さん（29）が「クラウドファンディングでお店を残すプロジェクトを立ち上げてみませんか」と提案。SNSを中心に拡散され、「応援購入」の輪が広がり始めます。特設サイトには「20年前に初めてサンフラワーでデートして結婚しました」「孫と食べたひまわりサンドをもう一度取り戻したい」といった思い出話と共に、支援の声が寄せられていきました。
プロジェクトは始動からわずか10日で目標額の150万円を達成。住宅メーカー・源建設の協力により外壁や厨房のリニューアルがスケジュール通り進み、リターン品の“ひまわりサンドギフト券”や“プライベート貸し切りパーティー招待状”は想定を大きく上回る応募数となりました。なかでも注目を集めたのは、大石さんと心を通わせた中学生ボランティアによる“ひまわり花束のお届け便”。子どもたちが笑顔で支援者宅へヒマワリを届ける様子がSNSで拡散され、さらなるあたたかい応援が津々浦々から届きました。
専門家の間でも「地域の日常が持つ価値を再発見させてくれる、理想的な社会貢献プロジェクト」と評価されています。リニューアルされたサンフラワーキッチンでは、支援者限定の“ひまわりフェア”が開催されるほか、新たにバリアフリースロープも設置。店内には、寄せ書きメッセージとともに人々の絆が鮮やかなヒマワリの花で彩られています。カフェを愛する一人ひとりの“応援購入”が形となり、小さな町に明るい未来が芽吹きました。
コメント
うちの小学生の子どもたちもサンフラワーキッチン大好きなんです。ひまわりサンドがまた食べられるなんて本当にうれしいです！町のみんなで大切なお店を守れたことが誇りです。
孫と一緒に何度も通った思い出のカフェが残ると聞き、胸が熱くなりました。皆さんの温かい支援に心より感謝します。リニューアルオープン、ぜひ伺いたいです。
こんなに素敵なプロジェクトがSNS発で広がるって、今の時代ならではですね！ひまわりサンドの写真ずっと気になってたので今度食べに行きたいです♪
朝の散歩帰りにふらっと寄るのが私の日課でした。お店のおかげでご近所付き合いも広がって、本当に感謝しています。みんなの力で守れてよかった…！
子どもたちが花束を届けてくれるなんてほっこりしすぎて泣けます。こういう町の小さなつながり、大切にしたいですね。ひまわりフェアも楽しみです！