“奇跡のマグカップ”が生んだ波及効果 知らぬ誰かと心結ぶ広告作戦が話題に

朝のカフェ店内で、若い女性スタッフがメッセージ入りの白いマグカップを笑顔で来店客に手渡している様子。 マーケティング戦略
カフェ・オーロラで生まれる“ご縁カップ”の温かなひととき。

出勤前のコーヒータイムがこれほど誰かに温かさをもたらすことがあるだろうか。全国のカフェチェーン「カフェ・オーロラ」で始まった“奇跡のマグカップキャンペーン”が、ささやかだけれど特別な絆を生み出していると話題だ。最初は一人の普通のマーケターが思いついた小さな企画だった。その取り組みが、思いもよらぬ広がりを見せている。

カフェ・オーロラのマーケティング部門の若手社員、土井桃花(29)は「日常の中で、何か少し心があたたかくなるきっかけを生みたい」との思いから、広告とは思えぬ控えめなキャッチコピーを刻んだ限定マグカップの制作を企画した。そこには『このカップを渡されたら、次はあなたが誰かに“ありがとう”を』という、さりげないメッセージが添えられている。

このマグカップは通常の商品ではなく、店頭で『次の人のコーヒーを私の分も』と伝えたお客が受け取れる仕組み。次の客がドリンクを注文するとき、バリスタが『前の方からのプレゼントです』と手渡すのだ。誰かからの恩送りの温もりとともに、“ありがとう”の輪がふくらんでいくことが狙いとされた。SNSでは『見知らぬ誰かに思わず笑顔をもらった』『朝から良い日になりそう』と投稿が相次ぎ、マグカップを手に写真を撮る姿が急増した。

注目されたのは、徐々にカフェの中でマグカップをきっかけに会話が弾み始めたこと。朝の忙しい時間に知らない同士が笑顔で話し、“ご縁カップ”と妙なあだ名で呼んで待つ姿も見られた。カフェ・オーロラの店舗責任者、榊原昴(45)は「子ども連れの方が席を譲り合ったり、学生さんが受験生にエールを送ったり、思いもよらぬストーリーが日々生まれている」と語る。キャンペーンは広告費削減も目的だったが、結果的には来店者のリピート率が従来比で18%も向上したという。

CX(顧客体験)の視点でユニークなのは、公式オウンドメディア『Aurora Times』で紹介され始めた#奇跡のカップ体験談だ。仕事帰りにふと気が滅入った会社員(38)がマグカップを受け取ったことで、夜勤中の看護師へと恩送りをつなげたエピソード、遠距離恋愛中のカップルが同じ日に偶然マグカップを手にした話など、感動的なストーリーが次々と寄せられている。マーケティング専門家の鳥居敬太氏は「単なる販売促進を超えてブランドストーリーが生活のなかへ浸透した好例」と絶賛。何気ない広告が生んだ幸せの連鎖は、新しいイメージ戦略のモデルとして各方面からも注目されている。

コメント

  1. このアイデア最高ですね。今朝、4歳の息子とカフェ・オーロラに寄ったら、知らない方がご自身のコーヒーと一緒にうちの分も…とカップを渡してくれました。息子が本当にうれしそうで、こういう優しさの連鎖って子どもにも伝わるんだなと感じました。

  2. 若い頃にはこういう“ご縁”を感じることが多かった気がします。今の時代にこんな温かいやりとりが流行っていると知り、少しほっとしました。私も今度、孫と一緒にコーヒーを飲みに出かけて、どなたかにありがとうを届けたいです。

  3. え、これめっちゃいい企画じゃん!友だちと朝にわざと『ご縁カップ』狙いでカフェいくのアリかも…(笑)SNSで見て気になってたけど、なんか自分もたまには誰かに優しくしたくなるね。

  4. カフェ・オーロラさん、素敵なこと始めてくれてありがとうございます!お店でたまたま隣の席の方と『そのカップ素敵ですね』と話して、思わず会話が弾みました。普段は話さない方とも自然と仲良くなれるきっかけになって嬉しいです。

  5. 通勤途中によく使う店舗で『前のお客様からです』って言われた時、正直びっくりしました。でもその日一日、なんだか疲れも吹き飛びました。こういう小さな優しさが、意外と大きな元気をくれるんですね。