長い白い廊下や無機質な壁で緊張しがちな病院の手術室。そんな空間が、思わずほほ笑むほど色鮮やかな子どもたちの絵で一変したと話題になっている。「未来総合病院」では、手術を前に不安を抱える患者や家族のために、地域の子どもたちと医師が協力し、手術室を優しいアートで彩るプロジェクトをスタートさせた。
プロジェクトのきっかけは、小児科医の柊木高士(ひいらぎ・たかし)医師(41)が、ある入院中の少女に“どんな風景を見たら勇気が出る?”と質問したことだった。少女が描いたのは、クレヨンで描かれた大きな虹と、友だちが手をつないで走る様子。その絵を手術室の壁に貼ってみると、翌日から他の子どもたちも「僕も描きたい!」「私の絵も貼って!」と賑やかな声が集まり始めた。
看護師の春名愛莉(はるな・あいり)さん(32)は「子どもたちが病気や治療を“怖いもの”ではなく、“自分を応援してくれるみんながいる”と感じてくれた時、みんなの顔がぱっと明るくなるんです」と目を細める。今では手術を控えた患者だけでなく、地元の園児や小学校の美術クラブも参加し、海や森、猫や宇宙船など夢いっぱいの絵が所狭しと手術室を彩っている。
子どもたちのアートが広がるにつれ、病院内の雰囲気も変わり始めた。「術前の不安がやわらぎ、気がつけば患者さん同士が“あの絵はうちの子が描いたんです”と親しく話し合う光景も増えました」と外科医の友井広志(ともい・ひろし)医師(55)。SNSでも「病院っぽくない、ポカポカした気持ちになりました」「私も家から寄贈したい!」など、感動の声が多数寄せられた。
未来総合病院のこの取り組みは、絵だけでなく、医師や看護師と子どもたちが一緒に描きながら語り合う“おしゃべり診察会”へも広がっている。絵を囲んで自然と笑顔と会話が生まれるこの場所には、不安や痛みを越えた小さな勇気と温かな絆が積み重なっている。今では病院スタッフや患者の家族も、「この手術室を見ていると、きっとどんな手術も乗り越えられる気がする」と語り合う。色とりどりの希望が溢れる空間は、今日も誰かの背中を優しく押し続けている。
コメント
私も小学生の息子がいるので、この記事を読んでとても温かい気持ちになりました。もし自分の子どもが病院で不安な思いをしたら…と思うと、このような取り組みは本当にありがたいです。未来総合病院の先生方に感謝したいです!
わしの若いころは病院と言えば、ただただ静かで緊張する場所じゃったが、今はこんなに明るい工夫がされてるんじゃな。子どもたちの絵に元気づけられる人がたくさんおると思う。本当に素敵な時代じゃ。
読んでてすごくほっこりしました!私も美術部なので、もし参加できるならぜひ協力したいなぁと思いました。自分の描いた絵が誰かの勇気になるって、なんかすごく憧れます!
未来総合病院はうちから歩いてすぐの場所ですが、最近子どもたちが「絵を描きに行ってきた!」と嬉しそうに話してくれていました。町のみんなで支え合う雰囲気が、ますます好きになりました。こういう輪がもっと広がってほしいですね。
いろんな形で人の不安を和らげる方法があるんですね!子どもたちの絵には純粋な力があると思います。大人こそ、こういう温かい場作りの大切さを学ばなきゃな、と心がジンとしました。