大使館通りに響いた子どもたちの歌声、30カ国外交官が手をつなぐ一日

各国の外交官と子どもたちが大きなパラシュートの下で笑顔で一緒に歌い踊る様子を写した写真。 外交・安全保障
小雨の中、パラシュートを屋根にして輪になり楽しむ外交官と子どもたち。

ブルーメ通りと呼ばれる首都の大使館街に、今年もにぎやかな歌声と笑顔があふれた。30カ国の大使館とその家族、近隣住民が集まる「平和の絆・子どもフェスティバル」は今年で5回目。だが、今年はある小さな偶然がきっかけで、各国外交官たちの心に深い変化がもたらされた。

今年のフェスティバルは、南極諸国連邦の初参加が話題となっていた。準備中、9歳のマーヤ・エザル(外交官の娘)が落とした折り紙のツルが、たまたま隣国の厚意で発見され、いくつもの大使館員の手を経てマーヤのもとへと返された。この“折り紙ツルのリレー”が大人たちの間でちょっとした波紋を呼び、「私たちは小さな善意でつながっている」という実感が自然と広がった。

その日の午後、会場の中央には大きなテントが立ち並び、各国から持ち寄った伝統防衛装備の模型やパズル、友好の証となる手作りのバッジ交換イベントが開かれた。武装とは対照的な“守る象徴”として、子どもたちがペイントしたシールド(盾)や折り紙兵士が展示され、笑顔の外交官たちが一つひとつに思い出や平和への願いを込めた。

途中、突然の小雨が降ったが、ロシア共和国のモリス・ジンパノフ大使(48)が自国製の巨大パラシュートをみんなで広げて即席の屋根に。各国の外交官たちが子どもたちと一緒にその下で歌い踊る様子は、SNSでも「こんな光景を何度でも見たい」「国と国が肩を組むってこういうこと」と感動を呼んだ。

夜には、全員で大きな円を作り、伝統楽器のハーモニーに合わせて『世界はひとつ』を合唱。普段は警備が厳しいこの一帯も、この日ばかりは垣根が消え、どの顔にも自然な笑顔が咲いていた。相手国からも「この経験を外交議事録に残したい」との声が相次ぎ、フェスティバルをきっかけに複数の同盟関係協議も前向きに進む兆しが表れているという。

「子どもたちの自由な発想と、ちょっとした助け合いが、外交の壁をやさしく溶かすんですね」——外交アナリストの高円寺 弘はそう語る。小さな善意が重なり、国境や大人の事情をこえて本当の平和が生まれる。そんな夢のような日が、大使館通りに確かに訪れた。

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