都会のオフィスビルに入るとき、今日のお昼は何を食べようかと目を輝かせている人たちの行列がありました。彼らのお目当ては、企業『フォルナックス・インターナショナル』本社の社員食堂。その特別なメニューが社内に新たな風を運び、思わぬコミュニケーションと笑顔を広げています。
フォルナックス社は、多国籍な従業員比率が4割を超えるIT企業。ある日、入社3年目でベトナム出身のグエン・ティエンアンさん(29)が、同僚の誕生日に母国の家庭料理でお祝いしたいと社員食堂のシェフに相談したのがきっかけです。そのリクエストを受けた料理長・一色カナエさん(45)は、「各国から集まったスタッフの“ふるさとメニュー”を順に出してみよう」と企画。「みんなのルーツを一皿で。今日はどこのうちごはん?」週間が生まれました。
それからというもの、食堂では韓国のもちもちチャプチェ、ウクライナのボルシチ、インドのダール、イタリアのマンマ直伝ラザニア……国旗のピンが添えられた大皿が並ぶようになりました。日本の家庭からは、おにぎりと切干大根がそっと加わります。どの日も社員が列を作り、自分の名前とメニューの物語を添えてサーブ。初対面でも「これはどんなお祝いのときに食べるの?」「お母さんの味に似てる!」など、自然と会話が生まれ、部署を超えた昼の“友達の日”が誕生したのです。
一色さんは「どんな背景の人も、“一緒に食べる”ことで心がほどけると改めて感じた」と笑います。SNSでも『#毎日が国際ランチ』『#一皿のダイバーシティ』が社外まで話題に。ある利用者は『食堂のメニューから同僚の家族にまで会った気分』『社内で気づかなかった文化や価値観を知れて誇らしい』と感想をシェアしています。
このプロジェクトを経てフォルナックス社では、自然と日本語・英語両方のメニュー掲示や、ベジタリアン対応、食物アレルギーの詳細表示も定着。男性社員の育休取得率や、異文化出身者の昇進割合も社史上初の伸びを記録したと言います。『おいしい』で始まった多様性、今では社員全員の心の真ん中に広がっています。



コメント
なんて素敵なお話でしょう!子どもたちにも、いろんな国の文化や味に触れてほしいなぁと常々思っているので、読んでいてほっこりしました。食卓から始まる多様性、学校でもぜひ取り入れてほしいです。
私が現役のころは、社員食堂といえば毎日似たようなメニューだったものです。時代が変わるのを感じますし、こんなに温かい交流の場になっているのが本当にうらやましいですね。いつか参加してみたいものです。
わあ、めっちゃおもしろい取り組み!うちのゼミでも色んな国の友達いるけど、ここまで交流できてないかも。ランチって、みんなと自然に仲良くなれるきっかけになるんだなあって気づきました!
フォルナックスさんの社食、テレビで特集されたら絶対見たいです!おにぎりや切干大根も並んでるなんて、なんだか懐かしいし、自分の家族にも食べさせたくなっちゃう。こういう温かいニュースをもっと知りたいですね。
読んでるだけでお腹がすいてきました!これぞ“ダイバーシティ”って感じで、食のパワーを改めて感じます。社食でここまで多様性を実感できるなんて、自分の職場でも真似してほしいな~。