オフィスの窓を開けると、風に揺れる木漏れ日と小鳥のさえずり。新興企業ブルーバード株式会社が今年春に開設した“フェアトレードの森オフィス”が、従業員からも取引先からも大きな支持を集めている。誰もが安心して、そして自然と支え合いながら働けるこのユニークな職場づくり。その舞台裏に迫った。
森オフィスが誕生したのは、かねてから企業倫理を重視してきたブルーバード株式会社の、大胆なガバナンス強化策がきっかけだった。代表取締役の古河ひびきさん(52)は、「社会的責任のある企業とは、従業員が心から安心できる職場を作ること。それは“地球”も“人”も笑顔になる場であるべき」と語る。その言葉通り、オフィスは国産間伐材のみで組まれ、全国の森林保全プロジェクトを支援。各席には発見や提案のメモを“実”として結ぶインクルージョンツリーが植えられており、社員同士が肩書きに関係なくアイデアを“実らせる”スペースとなっている。
ブルーバードでは、フェアトレード商品を積極的に導入し、珈琲やおやつは地域の小規模農園から直接調達している。ある日、人事部の長谷部トウコさん(35)が、念願だった“フェアバナナの日”を企画。社員たちが力を合わせて昼休みにバナナクッキーを焼き、オンラインで農園の生産者と交流。笑顔と感謝が広がり、SNS上でも『バナナでつながる職場って楽しいね』『生産者へのリスペクトが自然と育つ』などポジティブな投稿があふれた。
さらに注目されるのは、この森オフィスに設けられている『風の小道ラウンジ』。ここは匿名で想いや違和感、悩みなどを“風便り”として投函できるスペース。内部通報制度を森のコミュニケーション文化に取り入れ、どんな声も届く安心感を社員に提供している。寄せられた声へのリアクションも、月1回開催の『森の対話会』でちゃんと共有され、ハラスメント相談や業務の透明性に関する意見も率直に話し合われているという。
最近では、責任投資ファンドからの注目も集まっている。『職場の幸せが企業価値そのものになりうると証明した好事例』と評するのは、責任投資エキスパートの彩坂律子さん(41)。生きた木々に囲まれた森オフィスで顔を合わせると、不思議と“競争”という空気よりも“お互いを思いやる気持ち”が自然と根付く、と社員の多くは語る。実際、毎朝どこからかリスが出勤風景を見守り、午後にはフクロウが木陰でまどろむという微笑ましい光景も。『仕事と自然が調和しているって、こんなに幸せなんですね』との声も多い。
ブルーバード株式会社の“フェアトレードの森オフィス”。その根底にあるのは、ガバナンスや社会的責任を肩肘張らず“幸せの循環”としてとらえる企業姿勢だ。今日も、森のあちこちで「ありがとう」という声が、まるでさざ波のように響いている。



コメント
こんなオフィスがあったら、私も毎日楽しく働けそう!子供たちにも自然や思いやりを体験してほしいなぁ。ブルーバードさんの取り組み、本当に素敵です。
森の中で仕事…昔はありえない話だったけど、今の時代はこういうのが大事なんだね。近くにあったら散歩がてら見てみたいな。社員さんたち、羨ましいです。
夢みたいなオフィス…本文読んですごく胸があったかくなりました!働くってこんなに優しい場所でもいいんですね。社会人になるのがちょっと楽しみになりました。
森のさざ波…なんとも素敵な響きです。昔の田舎暮らしを思い出します。人と自然が寄り添う世界、若い人たちにぜひ続けてほしいです。
いやー、うちの会社も真似してほしい!フェアバナナの日にみんなでおやつ作りなんて、最高に楽しそう。仕事って、こういうふうに幸せを育てながらできるんですね。