都会の片隅、資源循環タウンと呼ばれる新興エリアで、カフェ「結びびカフェ」が静かな話題を集めている。そこに並ぶのは、ごくふつうのメニューと、テーブルや椅子がちょっとだけユニークな“虹色プラスチック”製であることだ。けれど、その内側には、地域住民と移住者、障がい者や多文化家族、リサイクル工房と学校の子どもたち――ありとあらゆる人たちが交わり、リサイクルを超えた温かな物語があった。
「自分の暮らす場所を、みんなの“居場所”にしたかったんです」。そう語るのは、カフェ運営者の生田アヤノさん（37）。一度は長年働いた企業を離れ、再出発した彼女が選んだ舞台は、使い捨てプラスチック製品の回収・再生をテーマに掲げたこのエリアだった。カフェのテーブルや椅子は全て、町内のリサイクル工房『トキノワ』で溶かされ、住民一人ひとりの好きな色や模様を“提案”しながら生成された一点ものだ。色とりどりの表面には子どもが描いた動物や、多言語のメッセージ、難民支援団体から届いた祈りの模様までもが重なる。
このカフェのもうひとつの特徴は、“虹色カップ”で提供されるドリンクだ。注文ごとに持ち帰れるリユースカップは、地元の清掃ボランティアで集まった使用済みプラスチックから作られる。その原材料の中には、拾い集めたペットボトルや古いおもちゃの断片、小型家電の部品まで混ざっており、リサイクル工房の技術チームが成分と安全性を丹念に管理している。まさに“一人一品”の循環。それがカフェを訪れた人の新しい誇りとなり、SNSでも「私のカップは青い電車のパーツ入り」「祖母が寄付したカトラリーが椅子になった！」と #結びびでつながる輪 が広がっている。
ある日曜、カフェではこんな光景があった。移住してきたばかりのルイス・サンチェスさん一家（スペイン出身）、手話で会話する高校生ペア、ご近所の陶芸家夫妻が同じ大きなテーブルを囲み、それぞれの椅子の由来話に花を咲かせていた。多様な背景を持つ人々が、まるで自分たちの想いが形になった家具に座り、“居心地のよさ”を共有する。そのテーブルには、点字ラベル、カラフルなタイル、地域ネコの足跡のプリントまでが賑やかに並ぶ。
SDGs研究家の高原祐一氏（環境政策専門家）は次のように話す。「循環経済や多様性の追求は、しばしばシステムや効率化の話になりがちですが、本当に大事なのは、人の小さな物語や優しさにより、循環の輪が柔らかに広がること。結びびカフェは、その象徴です」。資源循環を“結ぶ”ことが、あたたかな笑顔や偶然の出会いを生む。今、この町では色も文化もさまざまな“虹色プラスチック”が、今日もまた新たな物語を紡いでいる。
コメント
素敵なお店ですね！子どもたちと一緒に椅子やカップの由来を想像しながらカフェタイムを楽しめそう。うちでも「自分が作ったものが町の一部になる」体験をさせてあげたいなぁと思いました。
こういう場所って、なんだか実験的でワクワクします。自分のカップの素材にストーリーがあるって、ただ使い捨てするより全然愛着湧くし、みんなの交流も自然に生まれそう。今度友達と行ってみたい！
昔には考えられなかった光景ですねぇ。色んな人が集まって、リサイクルもみんなのためになる。本当に暖かい気持ちになります。私も古い食器が新しい椅子か何かになったら嬉しいです。
毎週プラごみを集めてるけど、こうやって作品になって人の思い出になるのは本当にやりがい感じます！多様な人が関われる場所が増えて、街に愛着わいちゃいますね😊
点字や多言語メッセージ、猫の足跡まで…なんか遊び心があふれてていいなあ！いつもは普通のカフェばかりだけど、ここなら新しい出会いと小さな幸せがもらえそう。