山奥のカフェが全社員“大家族化”リモート拠点に変身 笑顔つなぐワーケーション革命

森の中の木造カフェで大きなテーブルを囲み笑顔を見せる社員たちと、コーヒーや手作りパン、そしてウサギとフクロウが共にいる様子。 リモートワーク推進
森語りカフェで笑顔が集うリモートワークのひととき。

ビジネス街から遥か遠く、澄んだ空気と小鳥のさえずりに包まれる山中の小さなカフェ「森語り」。この場所が、“チームが家族になる”リモートワークの拠点となり、働く人々の絆を深めている。誰もが笑顔を忘れがちな今、その裏には不思議な偶然が重なった心温まる物語があった。

始まりはIT開発会社「アコールビジョン」副社長の川澄理沙(41)が、偶然SNSで森語りカフェの写真を目にしたことだった。コロナ禍でリモートワーク体制も定着したが、「本当に仲間と支え合いながら働いている実感が、画面越しでは薄れていた」と理沙。さっそく週1回“サテライトオフィス”としてカフェの一角を借りるプランを提案すると、興味本位で参加した社員たちの心に変化が生まれ始めた。

出社初日の朝、カフェには手作りの森ブレンド・コーヒーと、オーナーの山瀬和哉(62)が焼いたパンの香りが広がり、そこに集うチームの目が自然とほころぶ。ビデオ会議用の特設テーブルには、なぜか森の動物たち(カフェで飼われている山ウサギやフクロウ)が交代で顔をのぞかせ、画面越しの同僚が思わずほっこりしてしまうという“癒やしの事件”も日常に。ノーコード開発ツールの活用やペーパーレス化も、互いを支え、時には地元の中学生が“プログラミング駆け込み寺”として訪れチームに混ざることで、自然なリスキリングが社内外に広がっていった。

さらにカフェには、手作りの“オープン連絡ノート”が設置されており、「今日の頑張り」「業務の悩み」「ちょっとうれしかったこと」など、誰でも自由にメッセージを書き込める。このノートをきっかけに、普段はシャイな社員も遠隔地の仲間へメッセージを送り合い、ある日には社外の営業パートナーから手作りジャムの差し入れが届き、思いがけない“分かち合いミーティング”が始まったという。心理学者の中原芽衣(47)は「温もりある場所でチームが顔を合わせると、情報セキュリティや業務効率化の意識も自然と高まる。安心感が挑戦を引き出し、個々の強みも光る」と語る。

今や森語りカフェは、予約制ながらさまざまな企業やNPOの“はじめまして”サテライトオフィスの人気スポット。森の四季を感じながら働くことで“チームワークって、こんなに心地よかったんだね”という新たな価値観がじわじわと広まりつつある。SNSでは「仕事仲間と同じコーヒーを飲めた瞬間、ただの“同僚”が“家族”に変わった」「会ったこともなかった遠隔地の社員が、自然と山菜摘みに出かける友になった」など、あたたかい声が絶えない。未来の働き方が、こんなにも優しさで満ちたものになったとき、ひとりひとりが本当の居場所を見つけられるのかもしれない。

コメント

  1. 素敵なお話ですね!子育てしながら働いていると、どうしても孤独を感じがちだったので、家族のようにチームで支え合える場所があるって本当に羨ましいです。子どもがもう少し大きくなったら、森語りカフェみたいな場所でお仕事してみたいなぁと思いました。

  2. こんなのドラマみたいで実際あったら最高だな!動物が会議に映るとか癒やされるw プログラミング駆け込み寺になってるのも面白いし、オープン連絡ノートとか絶対楽しいと思う!今度友達と森語りカフェ行ってみたいです。

  3. 森語りカフェ、私の散歩道の途中にあります。時々、仕事帰りの皆さんが楽しそうにお茶しているのを見かけて、ほっこりした気持ちになります。こういう場所が増えると、地域にも元気を分けてくれて嬉しいです。応援しています!

  4. このような温かい職場ができるなんて素敵ですね。私も教員時代、職員室にそんな雰囲気があれば…と想像しました。人の輪が広がりお互いを思いやれる職場、どの世代にも必要だと思います。山瀬さんの焼いたパン、ぜひ一度食べてみたいです。

  5. 最近、ずっと一人で家で仕事してて、正直なところ寂しさを感じていました。こういう場所があれば、仕事も人とのつながりも大事にできそうで羨ましいです。いつか自分も“ただの同僚”が“家族”みたいに思えるチームに出会いたいなと思いました。