未来を変える“スマイルクラブ”──ソーシャルボットが生んだ優しい噂の連鎖

市民団体のメンバーたちがコミュニティセンターで笑顔でノートパソコンを囲んでいる様子。 フェイクニュース
スマイルクラブのメンバーたちが優しい噂話を作り上げる場面。

「この噂、ちょっと素敵すぎるかも…?」最近、SNS上で“心温まるフェイクニュース”が静かに広がっている。その発信源は意外にも、10代からシニア層までが集う市民団体“スマイルクラブ”が生み出した“優しさソーシャルボット”。ディープフェイク技術さえも、人を笑顔にするために使われる時代が到来しつつある。

北関東の小都市・陽ノ町では、“スマイルクラブ”を中心に地域ボランティアや学生、引退した技術者らが手を取り合い、「みんなが幸せな気持ちになるネットの噂話」を専用のソーシャルボットで生成。『公園の小鳥が忘れ物を届けにきた』『八百屋の奥さんが投げた雪玉が、遠く離れた子どもの誕生日に届いた』など、一度見ただけでほんのりと心が温かくなるニュースが日々SNSに投稿されている。

きっかけは大学生の松原友紀(21)が母親の情報リテラシー教室で聞いた“ネットは不安や怒りを煽るもの”という声。「本当は、笑顔も未来もつくれるはず」そう語った彼女のアイデアが、引退したプログラマーの佐竹誠二(69)や町のパン店主たちと繋がり、“ボット生成班”と“ストーリー班”がタッグを組むことにつながった。ストーリー班の最年少、児童(10)の山本彩斗は「自分の優しい想像が誰かの癒しになるなんて嬉しい」と話す。

“スマイルクラブボット”は、拡散アルゴリズムも一味違う。システムは「悲しみや怒り」が高まっているハッシュタグをAIで察知し、それらを見ているユーザーのタイムライン上に、そっと《ほっこりフェイクニュース》が現れるよう設計された。SNS上では「疲れて帰宅したら、小さな柴犬が漫画の世界から抜け出したって噂が流れてた…現実も悪くないなあ」「涙の夜に、素敵な作り話に助けられた」などの声が続々投稿されている。

専門家からも注目が集まっている。情報倫理研究家の田所和彦教授(昭和大学)は「偽情報対策とともに、ポジティブな想像力を分かち合うフェイクニュースの役割が新たな可能性を示している」と指摘。松原さんたちはあくまで“フィクションと現実の線引き”や情報リテラシー支援も重視しつつ、「誰かが少しでも前向きになれれば」と活動を続けている。町では、今年から“優しいウソで広がる幸せの日”を制定する構想も持ち上がるなど、ほほ笑みの連鎖は今後さらに拡がりそうだ。

コメント

  1. 毎日子育てでバタバタしているので、こういう優しいニュースを見ると本当に癒されます。娘と一緒に読んで、自然と笑顔になれました。スマイルクラブの皆さん、ありがとう!

  2. 昔は近所でもよく「誰かが善いことをした」「こんな素敵な出来事があった」と噂になったものです。今はネットを通じて、またほっこり話が広まるとは…なんだか懐かしく、うれしい気持ちです。

  3. 正直、SNSって荒れたり批判が多いから苦手だったけど、こんな優しい噂話なら毎日チェックしたくなります!うちの学校でも活動できたらいいな。

  4. 陽ノ町のパン屋同士で集まった話、ちょっとジーンとしました。お客さんとの会話のネタに、明日からこのスマイルクラブの噂話を使わせてもらいます。ほっこりをありがとう!

  5. ネガティブな情報ばかりじゃなくて、幸せを広げる工夫も技術でできるって素敵。友紀さんみたいな友達がいたら、きっと毎日が楽しいんだろうなぁ。心があたたかくなりました!