毎年恒例の大型キャンペーンが盛り上がる中、今年ひときわ注目を集めているのは、宣伝素材も賞品も“見えない”という異色のSNS企画『#ハピネスシェア』だ。投稿された動画や写真には商品や企業ロゴの姿は一切なく、代わりに「ありがとう」や「おすそわけ」といった優しさにあふれた行動が映し出されている。不思議な取り組みの背景には、ユニークな思いが込められていた。
このキャンペーンを考案したのは、マーケティング企業『ピュアリング・メソッド』に勤める八坂真一(46)。彼は、SNS広告業界で長年活躍する一方、「宣伝が人を幸せにできるはず」という信念を抱いてきた。「仕事柄キャンペーンやバズ動画の企画に関わりますが、本当に人の記憶に残るのは小さな親切や日常の幸せ。その良さを可視化できないかと悩み、いっそ“見えない広告”で挑戦しようと思いました」と語る。
『#ハピネスシェア』は、参加者が身近な人への優しい行動やちょっとしたおすそわけの瞬間を、字幕風のハッシュタグとともに動画編集して投稿するというもの。例えば、公園でランチを分け合う高校生や、隣人に手作りマフィンを届ける主婦、バス停で見知らぬ人に傘を差し出すサラリーマン――。どの動画にも企業の商品やロゴは一切登場しないが、コメント欄には「胸が温かくなりました」「今日も誰かに優しくしたい」といった感想が溢れている。
「人をつなぐ広告が、物ではなく気持ちを伝えても良い時代だと思う」と語る八坂氏のもとには、当初の予想を大きく上回るリーチが集まっているという。大手解析サービス『ソーシャリート』によると、開始1ヶ月で関連ハッシュタグの利用投稿は100万件を突破。その7割近くが企業によるキャンペーン参加ではなく、“自発的に広まったやさしい行い”のシェアだったことが明らかになった。
シェアされた動画を受けて、北海道の農家に住む斉藤野枝(主婦・39)は「都会の若者が祖父に野菜を送る場面に感動して、自分も久しぶりに友人に野菜セットを贈りました」と話す。SNS専門家のローゼン・マサヨシ教授(京都大学)は、「『見えない広告』はコンテンツの主役を“商品”から“人の行い”へと逆転させ、温かな連鎖を生み出しています。ビジネスが人々の思いやりに光を当てる新たな流れです」と評価する。見えない広告がつむぐ幸せのメッセージは、今後もさらに多くの心を照らしていきそうだ。



コメント
子どもと一緒に読んで、温かい気持ちになりました。SNSがやさしい言葉や行動でいっぱいになると、親としても安心ですね。私も何かハピネスシェアしたくなりました!
若い人たちの優しさがこうして世の中に広がるのは、見て聞いて嬉しいもんですな。昔を思い出して懐かしい気分になりました。これからもこの輪が大きくなりますように。
この企画めっちゃ素敵!友達とやりたいって盛り上がりました。誰かのためにちょっとしたことをする自信になるし、いい連鎖だと思います。
最近うちの町内でもおすそわけが話題になってて、この記事を読んで納得!自分の優しさが誰かにつながるって意外と嬉しいんですね。
こういう見えない広告が増えたらSNSももっと平和になりそう。最初はどんな意味があるのかなって思ったけど、読んで心がポカポカしてきました。八坂さん、良い企画をありがとうございます!