“ぷるぷるプリン”が起こした奇跡 ピッチコンテスト発・町工場再生の物語

工場の中で手作りプリンとメモを囲み、笑顔で集まる5人のチームの様子。 ピッチコンテスト
みんなの思いが詰まったプリンを囲むシナジープリンのメンバーたち。

たった一つのアイデアが、街と人の未来を優しく照らす――そんな出来事が富士見市の小さなピッチコンテストをきっかけに生まれました。全く異業種から集まった5人組「シナジープリン」が、“気持ちで固まるプリン”の事業アイデアと共に、地域と心をつなぐ一大ムーブメントを巻き起こしています。

毎年恒例となった富士見市ビジネス・チャレンジピッチ。この日の最終登壇者「シナジープリン」は、元町工場の経理担当だった矢澤裕子さん(44)、引退間近の氷屋職人・井上令一さん(68)、農家の三女・美野里千夏さん(27)、保育士の長峰瑠璃さん(32)、そして元郵便配達員の渡辺正治さん(59)が結成した異色のチームです。“みんなが一緒に作るプリンで、まちを元気にしたい”という素朴な願いから、彼らの挑戦が始まりました。

発表会場では、配布されたサンプルを手にした審査員や観客が「ふしぎ…」「あたたかい…」と声を漏らしました。シナジープリンのプリンは、材料の卵や牛乳に加えて、“ありがとう”や“おつかれさま”など、日々の思いを記帳したメモを専用装置でミックスすると、まるで魔法のように絶妙な食感と優しい甘みになるのが特長。『気持ちで固まるプリン』と呼ばれ、誰もが心ごと関われる商品設計に、会場は拍手喝采でした。

驚くことに、審査員のひとり緒方真之介さん(投資家)が即座にシード投資を宣言。さらに参加した地元中学校の生徒から「うちの祖父の工場が空いている。使ってほしい」と声が上がるなど、共感や応援の輪が自然に広がりました。その後、“大人も子どももチームに参加できる”という新たなルールが生まれ、SNSでは「#ぷるぷるシナジー」がトレンドに。町工場も再生し、いつしか子どもたち自身が品質管理を担当するユニークな生産体制になったのです。

「フィードバックも資材も、みんな気持ちを贈り合いながら動いてる。こんなチームワーク、ほかでは見たことがありません」と、事業アドバイザーの木本佳織さん(41)は目を細めます。“甘いプリンに込めたやさしさが、町を柔らかく包みこむみたい”と、応援の声も後を絶ちません。今では月に一度、気持ちのこもった新作プリンの発表と地域交流パーティーが開かれ、街じゅうが“おいしいチーム”として成長を続けています。

コメント

  1. 娘と記事を読んで、こんなプリンなら一緒に作ってみたいね〜と盛り上がりました!みんなの想いで作るプリン、食べたら絶対に幸せな気持ちになりそう。富士見市の取り組み、全国にも広がればいいなぁ。

  2. 68歳、退職後はだんだん人と関わる機会も減っていましたが、こういう地域の輪の広がりは本当にほっとします。私も子どもの頃、町工場でいろいろ教わった記憶が懐かしくなりました。参加してみたい気持ちです。

  3. え…『気持ちで固まるプリン』とか素敵すぎません!?こんな魔法みたいなプロジェクト、他にないと思う。私も学生だけど、こういう企画で地元の大人とも交流できたら毎日もっと楽しくなりそう!

  4. 近所のお子さんが「プリン工場行ったよ!」って嬉しそうに話してくれました。まち全体で新しいことに挑戦してる感じが伝わってきて、毎日がちょっと明るくなった気がします。応援してます!

  5. 普段こういうニュースって話半分で見がちだけど、これは純粋に癒されました。町工場もみんなの気持ちも一緒に再生してるのが最高ですね。うちの地域でもパクってほしい(笑)