年末年始の挨拶回りといえば、時に形式的と感じてしまうこともありますが、今年、阪東県松風市では“笑顔の連鎖”が予想外の広がりを見せている。きっかけは、地元の小さな和菓子店「初日堂」が始めた、手づくりの“よろしく餅コイン”だ。
「初日堂」の店主、平井貞子さん(63)は、かつて地元の挨拶回り文化が薄れかけていることにさみしさを感じていた。「昔はお年始に手土産を持って家々を訪ね、笑顔と一緒に新年を迎えたものなのに」と振り返る。そんな思いから誕生したのが、見た目は小さな餅にそっくりの“コイン”形お菓子。ひとつひとつに「今年もよろしく」のメッセージが刷られ、裏面には小さな招き猫の焼き印が押されている。
「お菓子を持参して挨拶すると、もらった側も誰かに渡してお返ししよう、とまたどこかへ行く。子どもたちも率先して手伝ってくれて、町中をコインが巡っています」と平井さんは笑う。実際、コインを片手に町内を歩く小学4年の柿本優斗君(10)と母・沙織さん(36)は、まるで宝探しのような気分で挨拶回りを楽しむようになった。「もらった“コイン”は、おじいちゃんやご近所さんに必ず届けると決めてるんです」と優斗君。
SNS上でも「松風市の“よろしく餅コイン”、職場で回したらみんなが優しくなった」「年始の挨拶を重荷に感じていたけど、この餅コインなら気軽にできて嬉しい」と温かな声が相次ぐ。さらに、地元企業ではこのコインを手土産に転用し、働き方改革部門の慶弔担当・三谷康寛さん(48)が「ハラスメント対策の一環として、年始の挨拶がよりポジティブになった」と語るなど、職場の雰囲気作りにも一役買っている。
松風市役所もこの動きを後押しし、コインで“ワークライフバランス宣言”をする職員が続出。「誰に渡しても笑顔が返ってくる。些細なことでつながる町に、改めて誇りを感じる」と地元小学校校長・中井裕美子さん(55)も語る。今年の冬、松風市の空気は、昔ながらの挨拶が形を変えて現代に蘇ったことで、まるで餅のようなやさしい柔らかさに包まれている。



コメント
とっても素敵なアイデアですね!うちの子も一緒にご近所さんへご挨拶するきっかけになりそうで、想像しただけで暖かい気持ちになりました。こういう優しい連鎖が全国にも広がればいいなあ。
私は松風市に住んで60年になりますが、こんなに地域が繋がっているのを久しぶりに感じました。餅コイン、受け取ったときの孫の笑顔が忘れられません。皆さまのご健康と幸せを祈っています。
ちょっと羨ましいなぁ。うちの地元でも、こういうイベントあれば、友だち同士ももっと仲良くなれそう。SNSでバズってるのも納得です。
職場でお菓子のやり取りはしていましたが、“よろしく餅コイン”みたいな意味のあるお菓子だと、より気持ちも伝わりそうですね!年始が楽しみになりました。
最初は「こんな習慣、今どき続かないよ〜」なんて思ってたのに、実際に“餅コイン”もらったらほっこりしちゃいました。やっぱり、ちょっとしたことで人との距離が縮まるんですね。ありがとう初日堂さん!