関西地方を走る列車のハブ駅、市川中央駅が、思いがけない理由で話題を呼んでいる。改札脇に小さく設けられている「日用品ミュージアム」は、名の通り日々の生活に欠かせない道具たちが並ぶが、なんとそのすべてが“届けられた忘れ物”で構成されているのだ。ここで生まれる人とモノの出会いが、今、多くの人の心を温めている。
このミュージアムを発案したのは、駅員歴17年の秋月はるなさん(42)。「毎日のように届く傘や手袋だけじゃありません。ある朝は歯ブラシと鏡のセット、またある日はタオルや衣類スチーマーまで。ちゃんと持ち主の元に戻ってほしいけど、時には誰の元にも帰れない子たちもいて…」と秋月さん。なんとかこうした日用品たちに再び居場所を作ってあげたいと一念発起し、駅構内のスペースを借りて展示を始めた。
展示はまるで“日用品の心の声”を想像させてくれる。鏡の横には「ぼくで身だしなみを整えてくれたあの方、今日も元気ですか」と手書きのカードが。鍋には「家族の笑顔をまた見たい」とのメッセージ。職場へ急ぐビジネスパーソンが足を止めたり、小学生グループが「これパパが持ってるのに似てる!」と盛り上がったり、老若男女がミュージアムの前で語りあう小さな輪が絶えない。
この取り組みは、SNSでもじわじわと広まりつつある。週末には、「思わず涙…」「自分の加湿器かも、心当たりの方はいませんか?」などの投稿、また遠方から励ましの声も届いている。専門家で道具文化史を研究する浦野日向教授(静岡大学)は、「道具は持ち主の暮らしの記録そのもの。こうした形で人と人、あるいは人とモノの記憶が交錯するのは国内初で、実に意義深い」と語る。
ミュージアムに展示される道具たちには、ある決まりがある。半年所有者が現れなかったものは、地元の福祉センターや子ども食堂へ寄贈され、第二の人生を歩み始めるのだ。秋月さんは笑顔で話す。「日用品って、なんてことない存在だけど、誰かの日常に寄り添い続けている。ここを訪れた人が、“自分も人にやさしくなろう”と思える場所になれば嬉しいです」。駅の小さな“日用品ミュージアム”が、新たな心の乗り換え駅となっている。



コメント
子どもたちと読んでとても心が温かくなりました!いつも通ってる市川中央駅にこんな素敵な場所ができていたなんて知りませんでした。今度家族で見に行きます。忘れ物も、人の優しさで新しい出会いになるんですね。
わしらの時代だと落とし物は落し物箱に入れられて終わりじゃったが、こんな風に展示して人と人が交流する場になるとは、ええ時代になったもんじゃのう。見に行ってみたいです。
めちゃくちゃ素敵!こういう優しさのリレー、すごく希望を感じます。私もよく駅で傘とか失くしちゃうから、もし自分のがここに並んでたら感動しちゃいそう…!
普段、駅前を通るだけだったけど、今度はちょっと足を止めてみたくなりました。展示に添えられたひと言メモも素敵ですね。こういう小さな優しさがまち全体に広がるといいなぁ。
なんか読んでるだけで涙でてきた😭物にも“おうち”が必要なんだなぁって…忘れ物にも第二の人生というのは素敵すぎる!秋月さんのアイディアと行動力、ほんと尊敬します❤️