星空の下、静かな町外れのストリートコートに集まったのは、バスケットボールをこよなく愛する老若男女。普段は日暮れとともに誰もいなくなるこの場所だが、その夜だけは違った。小さなランタンの明かりがともり、フクロウの声が響き渡るなか、新年最初のナイトゲームがはじまった。
発端は、高校生の天野颯斗(18)がSNSで呼びかけた「夜のコート・みんなで夢ダンクしよう!」企画。昨年の夏、自転車で転倒して利き腕を骨折してしまった颯斗は、復帰後“人生で一度はダンクを!”を目標にしていた。しかし、腕にはまだ不安が残る。そんな彼を知る地元の人たちは、「一人じゃなくて、みんなで支えて夢を叶えよう」と、即席チームを作りコートに集まった。
ゲームが始まると、普段バスケから遠ざかっていた年配の西条美代子(66)が颯斗のディフェンスに立候補。「昔は体が動いたのよ!」と軽やかに守る姿に拍手が起こる。中盤、未就学児の篠崎杏侑(5)がコートにボールを持って駆け込み、全員で“ちびっこタイム”を開催。思いもよらないミニダンクの連発に、夜のコートが笑い声で満たされた。
異変が起きたのは、試合終盤。天野颯斗が自分の順番でゴールへ突っ込むと、頭上からフクロウの影がスッと舞い降り、コートを回るように円を描いた。その瞬間、誰からともなく応援のダンスが始まり、プレーヤー全員・観客・さらにはコート周りにいた野良猫や犬まで、夜風に揺れるリズムに身を任せた。「ここにいるみんなで跳べば、空に手が届くよ!」という合図のようだった。
ついに颯斗がゴール下に立つ。地元サラリーマンの志賀一馬(41)や大学生の稲垣香月(20)らが人間タワーのように颯斗を支えると、観客のカウントダウン。「スリー・ツー・ワン!」の声とともに、颯斗は空高く宙を舞い、見事なダンクシュート。リングが大きく揺れると同時に、フクロウがひときわ大きく鳴いた。SNSには「#夜空のダンク」「#バスケに魔法」といった投稿が相次ぎ、いまでは町の新しい伝説となっている。
地元の森山小学校教諭・浜田由紀(38)は「世代も立場も超えて共に汗を流し、夢を応援する夜には、きっと特別な力が宿る気がします」と語る。あの夜のコートには、普段見逃しがちな“みんなで創る奇跡”が確かに生まれていた——次のナイトゲームが待ち遠しい、そう感じたのはきっと町中の誰もが同じだっただろう。



コメント
読んでいるだけで心が温かくなりました。うちの子もバスケが大好きなので、こういう地域のつながりがもっと広がるといいなと思います。ほっこりしました!
昔、孫と夜に公園でキャッチボールした日を思い出しました。年をとってもみんなで楽しめる場、素敵ですね。応援してます。
なんか映画みたいな話!自分も地元の友達と集まって夜に何かしたくなっちゃいました。SNSで知り合って世代関係なく集まるって、ちょっと憧れます。
その晩は私も遠くからランタンの灯りを見ていました。ご近所みんながひとつになるって、なんだか嬉しくなります。また今度は参加してみたいな。
颯斗くんのチャレンジ、勇気もらいました!仲間っていいなぁ、俺もいつか友達とこうやって夢を叶えたいです!