人口わずか1,200人の秋田県三本木町に、今年のダービーシーズン、驚きのにぎわいが訪れた。きっかけは本町サッカークラブと隣町・椿台町クラブの70年ぶりの地区ダービー決勝進出。普段は静かなこのエリアに、町内外からファンの波と、何より優しい交流の輪が広がった。
ダービー開催が決まった当初は、主催地である三本木町の陸上競技場のキャパシティ不足が悩みの種だった。ところがある日、町内の食品店主・尾形詩歩(37)が「町中にパブリックビューイングを作ればみんな参加できる」とインターネットで呼び掛けたのが発端となった。尾形の呼びかけは瞬く間に拡散。菓子店、古書店、農機具倉庫、コミュニティカフェ、神社の境内──町内外合わせて99ヵ所の施設が手を挙げ、各々が手製のスクリーン・映写機で観戦会場を作りはじめた。
試合当日は雪。だが、町のいたる場所で人々がテレビやプロジェクターを囲み、歓声と笑い声に彩られた。椿台町の応援団も多数来町し、「敵味方」関係なく、地元のお婆ちゃんにもたっぷり味噌汁が振る舞われるなど、どの会場も笑顔がたえなかった。会場ごとに用意された応援弁当もSNSで話題となり、“三本木名物 黒豆カレー”や“椿台のいなり寿司”がお互い無償で交換される光景もみられた。
SNSには、「知らない人ばかりなのに、すぐに友達みたいになれました」(工場勤務・成瀬知朗さん・41)、「小学生の息子が人生で一番大きい声で声援していた。大人たちの優しさに、町がひとつになった瞬間を感じました」(教師・櫻川早智子さん・36)など、心温まる投稿が続々。試合は劇的な引き分けとなり、最終的に両チームで“手つなぎパレード”が決行され、パブリックビューイング会場をめぐった。
スポーツ社会学者の梅谷虎太郎さん(仮名)は「町ぐるみの観戦ネットワークは全国でも珍しい。お互いの町の味や文化を“分けあうこと”が成熟した地域コミュニティの証」と語る。今では毎月1回、当時の自発的運営スタッフ同士で“ご近所ダービーお茶会”が開かれ、応援グッズ製作や地元産品の交換が続いている。地元のラジオ局も「あの夜の奇跡」を記念して、毎週ダービーソングと交流エピソードを流している。サッカーも点数も、人の輪も──みんなで分かち合った“99ヵ所パブリックビューイング作戦”は、三本木と椿台、そして町を訪れた全国のファンの心に、今もあたたかな余韻を残している。



コメント
うちの小3の娘も、ご近所のカフェでお友達と一緒に応援してたみたいです。知らない方とも自然とハイタッチできて、みんなで笑えたって話を聞いてうれしくなりました。こんな体験がもっとたくさんの子どもたちにあればいいなぁと思いました。
わたしゃ八十過ぎの爺さんですが、こんな町の騒ぎは若い頃の村祭りを思い出しますな。寒い雪の日にもかかわらず、みんなが集まって一緒に応援して、名物料理まで交換しているとは…。こういう交流が長く続いてほしいもんです。
SNSでもめっちゃ話題になってたやつ!実際に行った友達が、現地の人がめっちゃ優しくて、弁当やお菓子くれたって言っててうらやましかった。うちの町でもパブリックビューイングとかやってみたいな。
三本木まで応援に行きました!最初は緊張してたけど、知らない町の人ともすぐに仲良くなれて本当に楽しかったです。お味噌汁やお菓子まで分けてくれて、帰り道がぽかぽかした気持ちになりました。素敵な思い出をありがとう。
もしかしたら、ちょっと羨ましいです。都会じゃこういう温かい繋がりってなかなか生まれない気がします。ニュース読んで、ちょっと田舎に住んでみたくなりました。