トネガワ小学校の緑の陸上大会――みんなで育てる循環するユニフォーム物語

桜が舞う校庭でリサイクル素材のカラフルなユニフォームを着て集まる小学生たちの実写写真。 サステナブルスポーツウェア
世代を超えて受け継がれる循環型ユニフォームに身を包み、誇らしげに並ぶトネガワ小学校の子どもたち。

桜の花びらが舞う春の朝、埼玉県の利根川沿いにあるトネガワ小学校の校庭には、色とりどりの陸上選手たちが集まっていた。しかし、彼らのユニフォームにはひと味違う秘密が隠されている。地域全員で作り上げた、地球にも心にもやさしい“循環型スポーツウェア”が、今年の大会に彩りを加えたのだ。

ことの始まりは、体育委員会をまとめる小学6年生の矢野さつきさんの一言だった。「どうせなら、みんなが長く大切にしたくなる、地球も笑顔になれるユニフォームがほしいな」。その思いに応えたのは、隣町で機能性素材の研究をしている洋服職人・山崎龍之介さん(53)と、地域の織物クラブ。廃棄予定だったTシャツや使い古されたカーテンを、繊維にまで分解してリサイクルポリエステル糸へ。そして、参加児童が集めた桜の小枝やクヌギの葉で自然な染色が施され、個性豊かな色合いが生まれた。

さらに驚きなのは、デザインごとに地域の物語が込められていることだ。たとえば高学年の班で話し合いが行われ、それぞれの町内会のおばあちゃんたちがかつて作った祭りの半纏(はんてん)の模様をアップサイクルし、ワッペンに再生。デザインと機能性両立のため、破れにくい構造や選手の動作に応じて伸び縮みする特殊編みも採用された。

新しいユニフォームをまとった子どもたちは、持ち帰る前に必ず地域の共有ラックに一度戻す習慣を開始。「来年は弟も妹も、このウェアを着るんだよ」と5年生の酒井大地君が、誇らしげだった。大会後、学校の体育用具庫には“思い出ノート”が設置され、着用して感じたことやメンテナンスの提案、次のデザイン案が続々と書き込まれていく。まさに、使い捨てではなく、世代を超えて受け継がれるスポーツウェアのサーキュラーエコノミーが生まれつつあるのだ。

SNSでも「地域で育てる制服が素敵!」「息子の卒業記念が増えた」と広まり、遠方の学校からも見学希望が届くほど。専門家で繊維工学者の天沼英夫さん(42)は「長寿命デザインへの挑戦が、子どもたちと地域の誇りになっています。どんなに優れた素材より、思い出の蓄積こそが最高の耐久性です」と語っている。

「ユニフォームは毎年形を変えるけど、みんなで育てているのは一緒なんだ」。今年の大会でアンカーを務めた矢野さんの言葉に、地域みんなが大きくうなずいた。種から育てるスポーツウェアと、世代をまたぐやさしい思い出。その物語は、トネガワ小学校から全国へ、ますます広がっていきそうだ。

コメント

  1. 息子が来年5年生になるので、きっと新しいユニフォームに袖を通すんだなぁと今からワクワクしています。みんなで作った思い出が詰まったウェア、とても素敵だと思います。こんな取り組みが全国に広がってほしいです!

  2. 昔は祭りでみんなで法被を作ったもんですよ。今の子どもたちも、地域と一緒に新しい形でこういう体験してるなんて、じいさん嬉しいねぇ。みんなで大事に次に渡す心、忘れないでほしいですな。

  3. こういうエコなユニフォーム、カッコいいと思う!オレの小学校にもあったら、卒業生として誇らしかっただろうなぁ。後輩たちちょっと羨ましい…なんて。

  4. 皆さんの温かい反応に感謝です。子どもたちと一緒に手を動かしている時間は、とても幸せでした。思い出ノートのアイデアも、とても嬉しく拝見しています。これからも地域で繋がっていけたらと思います。

  5. 朝の通勤途中に校庭で大会やってるの見かけて、ユニフォームの色合いに驚いていました。こんな裏側のストーリーがあったとは!自分の子ども時代にもあったらよかったなぁって素直に羨ましい気持ちです。地域の力ってすごいですね。