町の“ヴィーガンシェアパントリー”で広がる奇跡のレシピリレー──心もからだも満たす木曜の魔法

町の共有スペースで多世代の住民たちが手作りのヴィーガン料理や野菜を囲んで談笑している様子。 ヴィーガングルメ
カサマチのヴィーガンシェアパントリーには、毎週さまざまな人とレシピが集まります。

毎週木曜の午後、北関東の静かな町・カサマチで、ひとつのささやかな奇跡が続いている。住民たちの手で運営される「ヴィーガンシェアパントリー」が、地元の暮らしに新たな彩りと優しさをもたらしているのだ。パントリーに並ぶのはオーガニック野菜、大豆ミートで作られた手料理、グルテンフリーの焼き菓子から地元産のオーツミルクまで。訪れる人々の数は増え続け、ここから特別な“リレー”が生まれている。

パントリーを始めたのは、パン職人のクルマタ・ヨシミさん(52)。3年前に食のバリアフリーを目指して開いた週一の小さな分かち合いが、瞬く間に集いと優しさの場に育った。「きっかけは、食物アレルギーを持つ町の子どもたちと、ヴィーガンの若いママさんたちでした。誰もが安心して美味しいものを楽しめる場所にしたくて」とヨシミさん。最初の頃は少量の手作りパンやサラダが並ぶだけだったが、気がつけば近所の農家や、料理好きなご年配たち、若いアーティストなど多彩な顔ぶれがレシピや素材を持ち寄るようになった。

月ごとにテーマが変わるレシピリレーが人気を呼んでいる。今月は『豆でひと工夫』。初日を飾ったのは高校生の木下シオリさん(17)が考案した“枝豆とひじきのグルテンフリーバーグ”。SNSでレシピが写真とともに拡散され、町外からも「試してみたい!」とメールが寄せられた。次週は農家のヒラノ・ソウイチさん(68)が、朝摘みオーガニックきぬさやと大豆ミートのカレーを調理。余ったカレーを持ち帰った中学生たちが独自のアレンジメニューに挑戦し、パントリーでシェアする嬉しい循環も。

「食の制限がある子も、大人も、誰も肩身の狭い思いをしなくていい空間。そして、新しい味や友達まで増えるんです」。常連の主婦・マツシマツバサさん(41)がそう語る。交流ノートには「初めてオーツミルクのスイーツを食べた」「お隣の大人と料理の話で盛り上がった」「祖母の得意だった雑穀のスープを皆に伝授できた」など、毎回温かい声が綴られている。先月は、町内のベーカリー店員が余ったグルテンフリーパンを寄付し、パントリーの利用者が新感覚のサンドイッチを創作。SNSでは「#カサマチパンリレー」が小さなブームとなっている。

管理栄養士のナガノ・ミユキさん(34)は「食に制限がある人も、ない人も、アイデアを出し合うことで“みんなが参加者”になれる。地元の野菜や穀物を使えば地域も元気になるし、心の健康にもつながる」と話す。最近は遠方から移住を考える人が見学に訪れるほどの人気ぶりとなり、実は町議会でもほかの地域への展開を検討中だという。食べ物を「分ける」ことを超え、人と人とを「結ぶ」やさしい木曜の奇跡は、これからもさまざまな温もりを生み出し続けそうだ。

コメント

  1. うちの子がアレルギー体質なので、こういう場所があるって本当に心強いです!みんなでレシピをリレーするのもすごく素敵。毎週木曜が楽しみになりそうですね。

  2. 最近の若い子たちも一緒に料理作るなんて、時代が変わったなぁ。私も昔よく雑穀でスープ作ったけど、こうやって若い世代と交流できるのは嬉しいことです。どんどん町が明るくなりますね。

  3. うわー、シオリさんのバーグすごい!僕も家で作ってみたけど、またパントリーに持っていってみたいです。自分もレシピリレーに参加できると思うとワクワクします!

  4. この町の取り組み、本当に憧れます。ヴィーガンだからって肩身が狭い思いせず、お互いに支え合えるコミュニティがあれば、食の楽しみがどんどん広がりますよね。いつかカサマチにも行ってみたいです!

  5. 仕事でカサマチに来てますが、こういう温かい場所があるのは嬉しい驚きです。普段は食事も疎かになりがちだけど、ここに来るとホッとして優しい気持ちになります。また木曜に寄ってみますね。