深刻な森林破壊が問題視されていた南部の国立公園内で、この春、奇跡のような出来事が起きている。かつては違法伐採や自然災害で失われかけていた森。その真ん中に、人間と自然が手を携えた小さな合唱団が誕生し、傷ついた森が少しずつ元気を取り戻しているのだ。
物語の始まりは、林業技師の笹川椋太(38)が幼い娘と森を訪れたことだった。倒れかけた古木の根元から、ほんのりと音楽のような微かな振動を感じた娘は、「木が呼んでる」と訴えたという。その後も森林整備のボランティアたちが集まり、伐採を回避した立木の側で静かに歌声を響かせると、不思議な現象が広がり始めた。森の奥深くの立木たちが、まるで歌に応えるように葉を揺らし合い、鳴き声や風の音が新たなハーモニーとなったのだ。
これをきっかけに、“樹木の合唱団”と呼ばれる小規模な音楽会が毎週末に開かれるようになった。参加者は地域の子どもたちから高齢者、森林保全を学ぶ学生まで100人超。歌う曲も童謡から自作の森の歌までとさまざまで、中には外国から訪れる自然愛好者の姿もある。最新の環境センサーによると、合唱会の周辺では微細な大気中の塵やCO2の含有量がやや減少し、酸素濃度が上昇するとの興味深い計測結果が示された。森林研究家の村松達郎氏(54)は「木々が人の声をきっかけにより活性化されている可能性がある」とコメントしている。
SNSでは現場の動画が拡散され、「森が人の歌を覚えた」「鳥やリスまでがリズムに合わせて動き出した」「夕方には森全体がコーラスのよう」と驚く声が多数寄せられた。熱帯雨林再生活動に取り組む団体からも注目が集まり、「この方法を世界の森林保護運動に応用したい」との申し入れも届いたという。子どもたちが森に手紙や自作の歌詞を“木のポスト”に届ける新習慣も生まれた。
「森を守るのは難しいことばかりじゃない。まずは一緒に歌い、心を通わせてみることから始めたい」と、笹川さんは笑顔で話す。今、森と人との新しい関係が小さな歌声から生まれ、失われかけていた生態系や地域の絆をそっと癒している。だれかの声が森のなかの希望となり、この奇跡が静かに広がっていく。


コメント
読んでて涙が出ました!子どもたちと森に歌いに行くって、すごく素敵ですね。自然と過ごす時間をもっと大切にしたくなりました。うちの子たちも「木のポスト」に手紙書いてみたいって言いそうです。
昔はよく村の皆で山に入って歌ったものです。こんなふうに森と人とがまた繋がっていく様子は、どこか懐かしくて温かい気持ちになります。みんなでコーラス、いいですねえ。
森の健康状態が歌で良くなるなんて、本当にあったら最高!環境と音楽って、楽しい形でつながれるんですね。私も友達を誘って参加してみたいな。
最近森から楽しそうな歌声が聞こえてくると思ったら、こんなイベントがあったんですね。うちの孫も先日帰り道に鼻歌を歌ってたので、自然とみんなが元気になる良い取り組みだと思います!