小さな“こだまカフェ”が全国をつなぐ——空き店舗復活が生んだ不思議な連帯

地方の空き店舗を改装した温かみのあるカフェで、人々が思い思いに過ごしている様子の写真。 地方分権・地方創生
地域の人々が集い、他の町とデジタルメッセージでつながる“こだまカフェ”の一場面。

駅前のシャッター街から、ほのかな歌声が響く──そんな光景が多くの地方都市で見られるようになった。人口減少に悩んできた秋田県の田並市がはじめた“こだまカフェ”設置の取り組みが、全国に優しい波紋を広げている。

田並市では、かつて中心市街地の店舗の半分近くが空き家となり、まち歩きする人もまばらだった。市役所職員の柴田真尋(しばたまひろ)(52)は、昔から住む人も越してきた若者も、みんながふと立ち寄り、思い思いに過ごせる場所を探し続けてきた。ある日、市の空き店舗を改装し、朝9時から子どもたちのおしゃべりが響き、お昼には移住してきたカフェオーナーの嶋中アイリ(しまなかあいり)(34)が郷土料理をふるまう“こだまカフェ”を開いたところ、不思議なことが起こった。

カフェの壁には、日本中の似たような悩みを抱える町と、オンラインでつながる“未来伝言板”が設置されている。いま話題なのは、鳥取県大山町で焼き芋フェスを計画する小学校のメッセージに、田並市の高校生たちが手作りの芋パイレシピを送ったエピソード。“こだまカフェ”はまるで木霊(こだま)のように、やさしい声や笑顔が各地へ伝わり、点と点がやわらかく結ばれている。

市が導入したデジタル田園都市構想にも、“こだまカフェ”は小さな起点となった。無料Wi-Fiやオンライン相談コーナーは、移住希望者と地元住民をつなぎ、関係人口を徐々に増やしている。嶋中さんは「一人で来ても、ぜったい誰かとおしゃべりできる。ここで出会って、ほかの町でボランティア帰省した仲間もいます」と笑う。最近では北海道の町から届いた手作り木工作品がカフェに並び、各地の特産品が“こだまカフェ便”として交換されているそうだ。

「人も経済も、いきなり元に戻すのは難しい。でも、こうしてぽつりぽつりと小さな賑わいが生まれれば、町はまた自分たちで育てていけると信じています」と柴田さんは語る。この取り組みにならい、全国で40を超える自治体が「次はうちの“こだまカフェ”で物語を」と準備を進めている。SNSでは「うちの町でも“こだまカフェ”ができたらいいな」「遠く離れた人と芋パイのレシピを交換したい」といったやさしい声があふれている。地方創生のヒントは、もしかしたら、一杯のお茶から始まるのかもしれない。

コメント

  1. わが家にも小学生と保育園児がいるので、こんなカフェが近所にできたら嬉しいです!朝から子どもたちの笑い声が聞こえる町って素敵ですね。芋パイのレシピ交換にもぜひ参加してみたいです。

  2. 昔は近所づきあいが当たり前だったけど、最近はなかなか難しくなりました。こだまカフェのような場所があれば、久しぶりに誰かとゆっくり話せそうで心が温まります。ぜひ一度、行ってみたいものです。

  3. こういう地域の取り組み、SNSでもよく話題ですよね〜!地方の町とネットでつながれたら、実家に帰りたくなっちゃうな。学生ボランティアとしても参加できそうだし、リアルで人と繋がれるチャンスがもっと増えてほしいです。

  4. 最近仕事ばかりでちょっと孤独だったので、こだまカフェみたいな場所にホッとしに行きたいです。出張のついでに寄れるカフェ、どんどん全国に増えたらいいな~。木工作品や特産品も見るの楽しそう!

  5. うちの商店街もシャッターばかりでちょっと寂しかったの。でもこの記事を読んで、もう一度地域で楽しく集まれる場所ができたらいいなって希望が湧きました。ほっこりニュース、ありがとうございます!