アップサイクル列車が咲かせる幸せの旅路――“モザイク号”が紡ぐ再生の物語

再利用素材で彩られた列車の外側に、地元の子どもから高齢者までが協力してモザイクピースを貼っている様子のリアルな写真。 アップサイクル
地域住民が“モザイク号”の車体にアップサイクル素材の新たなピースを加えている。

再利用素材で彩られた「旅する美術館」が話題を集めている。全国を巡る特別列車“モザイク号”は、分別収集された陶器のかけらや端材、古い布やガラス瓶などをアップサイクルし、車体内外に見事なモザイクアートを描き出した珍しいプロジェクトだ。駅ごとに新たな一片が加わるこの列車は、各地で地域住民と旅人の笑顔を咲かせている。

プロジェクトのきっかけは、元美術教師の小堀環(56)が退職後に始めた「再生資源の美術部」だった。小堀は地元の生徒とともに、使われなくなった皿や湯飲み、割れた屋根瓦など色とりどりの破片を集めて小さなモザイク作品を制作。“捨てるなんてもったいない”という声をもとに、旅する列車を一つの大きな共同作品にしようと発案した。賛同した鉄道会社は、遊休カートレインを全面的にモザイクアート列車へとリメイク。車体だけでなく、座席やテーブル、廊下や天井にもアップサイクル素材が敷き詰められた。

“モザイク号”は全国21駅を巡る旅の途中、各地の住民と密接に関わりながら進む。停車駅では必ず『ワクワクリメイクワークショップ』が開催され、地域から集められた思い出の食器や古着、ガラスの欠片が列車車内の新たなパーツとなる。子どもから高齢者まで、初めてハンマーやタイルカッターを手にする人も多いが、講師が丁寧に指導することで、みんなが迷いなく自分の一片を加えていく。作業後にはその場で小さな花型の記念タイルが贈られ、思い出とともに旅人の手に渡る。

アップサイクルの力で町と町、人と人がつながっていく現象は、SNSでも盛り上がりを見せている。「自分の描いた鳥の形が、別の街で車内の壁になるなんて素敵!」「祖母の思い出の湯飲みがみんなの笑顔の一部に」など、投稿は絶えない。専門家の三上慎之助(アップサイクル研究者)は、「資源の再利用は社会的な課題解決だけでなく、共感や物語を生み出す新しい公共の場になる」と太鼓判を押す。

列車の全旅程が終わる頃、最初の駅で貼られた初期のピースや、遠く離れた土地のガラス、北と南の古民家の破片が複雑に混ざり合いながら、一枚の巨大な絵を完成させる。“捨てられるはずだった素材の小さな声”が一両一両に重なって、たくさんの笑顔を運んだ「旅するモザイク号」。次はどこの町で新しい色を加えるのか、各地で心待ちにする人が後を絶たない。

コメント

  1. 子どもと一緒にニュースを見て、こんな素敵なプロジェクトがあるんだね!って話していました。思い出のあるものが新しく生まれ変わってみんなの笑顔になるって、本当に幸せですね。いつか家族でモザイク号に参加したいです。

  2. 昔、陶器を割ってしまった時はただ捨てるしかなかったのに、こうして新しい命を吹き込む取り組みに胸が熱くなりました。物を大切にする心が、次世代に繋がりますように。次はうちの町にもぜひ来てほしいものです。

  3. アップサイクルとかSDGsとか、授業でよく聞くけど、実際に自分が参加できるワークショップって素敵!自分の作ったパーツがどこかの街で人を笑顔にすると思うとワクワクします。友達と参加したいなぁ。

  4. うちの店の前をモザイク号が通ったとき、町のみんながなんだか誇らしそうな顔をしてました。使わなくなったお皿も、列車の一部になって全国を旅してると思うと、パンを焼いてる自分まで元気をもらえます!

  5. 古いものでも“捨てたくない”って気持ち、すごく分かります。祖母の指輪やお皿をどうしようかと迷っていたけど、こういう風に思い出が新しい形で残るのって素敵です。心があったかくなりました。ありがとう。