虹色の提灯がやさしい光を落とす夜、旧市街の路地裏で不思議なレズビアンバー「ブリーズ・ラウンジ」に起きた、とても心温まる出来事が静かな話題となっている。そこではジェンダーレスやXジェンダーの人々も、お祝い事も悲しみも分かち合い、それぞれの色で輝いているという。
店主の相川杏子(38)は、ジェンダーや恋愛の枠を超えた自由な居場所づくりを夢見て、この小さなバーを開いた。今夜、常連のXジェンダー会社員・志摩祐太(29)は、職場でのカミングアウトに勇気を出せず落ち込んでいた。杏子はいつものように静かに耳を傾け、店先にあった花瓶の紫陽花を一輪、そっと祐太に手渡した。その言葉はたったひと言。「あなたの色でいれば、この場所はきっと虹になるよ」だった。
その夜、祐太の隣には初めて来店した高校教師・村山葵(41)も座っていた。葵は自らのセクシュアリティに悩み、このバーにたどり着いたばかり。二人は杏子がサーブした虹色のゼリーを分け合いながら、自然にお互いのことを話し始めた。たとえば、中学生のころに感じた違和感のこと、家族と過ごす休日の笑い話、そして、いつか自分らしく生きる場所を見つけたいというささやかな希望について。
夜が深まるころ、店を訪れていた常連や初めての来客が、次々に壁の“虹色ボード”に小さなメッセージを貼り付けはじめた。「どんな色も、ここでは素敵」「ほんの小さな勇気が世界を変える」「自分を好きになる練習中」──それぞれの言葉が重なり、一枚の温かいキャンバスが出来上がった。誰もがその前でそっと微笑み合い、見知らぬ者どうしの間に、やさしい絆が芽生えていった。
バーテンダーの杏子は、閉店後もボードに寄せられた言葉をそっと読み返す。SNSでは「ブリーズ・ラウンジの虹色ボードに救われた」「悩んでもここに来れば大丈夫と信じられる」「店主さんのゆるやかな優しさに涙が出た」といった投稿が広まり、ごく普通の一夜が、町の誰かと誰かを家族のように繋げる小さな奇跡になっている。”誰も取り残されない場所”―そんな夢が、今夜もやさしい風とともに広がっている。


コメント
子育て中なので、子どもたちがいつかこういう優しい場所で自分を大事にできるって思える世の中になってほしいです。ブリーズ・ラウンジ、行ってみたいな。