東北のたんぽぽ村で誕生した“ふわふわ通貨”、住民自治を芽吹かせる

田舎の小さなパン屋で女性店主が子どもからたんぽぽの綿毛を受け取りパンを渡している様子の実写風写真。 地域主権と地方創生
たんぽぽ村のパン屋で、ふわふわ通貨を使ったほほえましい取引が行われている。

東北地方の山あいに位置する田舞町たんぽぽ村で、手作り感あふれる新たな地域通貨「ふわふわ」が静かな旋風を巻き起こしている。人口減少と財政難に悩むこの小集落で、子どもからお年寄りまでが笑顔を交わす日々の風景――そんな光景が、移住希望者や他地域からも温かい注目を集めている。

たんぽぽ村では昨年、自治会長の有光秀継さん(56)が「現金だけに頼らず、村の中で助け合える仕組みを作ろう」と発案し、住民みんなでアイデアを持ち寄った。最終的に決まったのは、各家庭や商店の庭先に咲くたんぽぽの綿毛を使った『ふわふわ通貨』。1枚のふわふわ=村内で1回“ありがとう”を交わせる権利として、農産物や家事手伝い、趣味のレッスンなど様々なサービスと交換できるようにした。

村唯一のパン屋を営む千秋輪子さん(43)は、毎朝店頭に『ふわふわ受け付けます』札を出している。「お客さんからもらったふわふわで、向かいの和菓子屋さんにドーナツと羊羹を交換してもらったり、畑仕事を手伝ってもらったり。いつの間にか、お金より心が豊かになった気がします」。そんな広がりをSNSで知った移住希望者が、近隣市町村から週末ごとにふわふわ獲得体験に訪れるようになった。

住民自治の新たなかたちとして、自治体からも視察が相次ぐ。たんぽぽ村ではふわふわ通貨の発行数が記帳ノートで厳密に管理され、乱発を防ぐルールは自然と住民会議で決まっていった。広域連携の動きも高まり、隣町ではさくらんぼの種を使った『ぷちっと通貨』プロジェクトが始動。一帯での“ふんわり経済圏”づくりが住民たちの心を結びつけている。

東京都から家族で移住した榛葉菜々美さん(34)は「おすそ分けと笑顔が毎日循環して、ここではお金の重さを忘れられる」と話す。専門家の杉村仁志教授(地域創生論)は「地域資源を生かした通貨が住民の自信につながることこそ、地方創生の理想的事例」と評価した。たんぽぽ村に吹く春風のような通貨の誕生は、小さな輪から広がる大きな希望となりつつある。

コメント

  1. 小学生の子どもと一緒に読みました。親切を“ふわふわ”でやり取りするなんて素敵ですね。うちの町でもこんな優しい通貨があったら、子育てがもっと楽しくなりそうです。

  2. 昔は隣近所でよく助け合ったもんですが、こうやって新しい形で支え合える仕組みができるとは…胸が温かくなりました。都会にも広がればいいですね。

  3. 学生です!ふわふわ通貨で村の人みんながつながれるなんて最高。体験してみたくなりました。自分の地元でも、誰かが笑顔になる仕掛けを考えてみようかな。

  4. 近くに住んでいる者です。ふわふわ通貨、SNSで初めて知って興味津々!お金ばかりじゃなくて“ありがとう”が見える形になるのが素敵ですね。今度ふわふわ体験しに行きます。

  5. こういう話、フィクションでも実際にあってほしいなと思います。笑顔やおすそ分けが通貨になる世界、ちょっと憧れちゃいます。読んでほっこりしました。