御嶽山の岩場で始まる“小さな願い石”プロジェクト 登山者と自然がそっとつなぐ幸せの輪

登山者の手が「がんばれ」と書かれた小さな石を御嶽山の岩場に静かに置いている様子。 山岳
御嶽山の岩場で、“願い石”をそっと置く登山者の手元。

標高3000メートル近く、厳しく美しい自然が広がる御嶽山。その岩場に、登山者ひとりひとりの小さな願いが込められた“願い石”が集まり、優しい輪を広げている。岩と人、そして山の精霊たちが織りなす、心温まるプロジェクトが話題を呼んでいる。

事のはじまりは先月末。趣味の登山を続けてきた会社員の南雲航平(41)は、御嶽山の岩場で偶然にもひときわ丸くて手のひらに収まる石を発見した。石には薄く“ありがとう”と鉛筆で書かれており、それを拾った航平さんは心がじんわりと温かくなったという。「山に入るたびに感謝していたけど、言葉にできた人がいたんだなと。小さなメッセージを受け取った感じがしました」

自宅に帰った航平さんは、自分も何か返したくなり、翌々週の登山で自然の石に“がんばれ”と優しい一言を書き、ほかの誰かが見つけそうな岩棚にそっと戻した。すると、ほんの数日後、SNS上で“御嶽山の岩場で応援されて泣きそうになった”という投稿が爆発的にシェアされた。投稿写真には南雲さんが書いた“がんばれ”の石が写っていた。

その日を堺に、登山者の間で“願い石”ブームが静かに広がりはじめた。小さな石に短い言葉やイラストを描き、岩場のあちこちにそっと置いてくる人が増えている。置かれた石には“おつかれさま”“大丈夫”“また来てね”など、日々の励ましや自然への感謝、小さな希望がこめられているという。御嶽山ふもとの登山道を管理するボランティア・滝之上かなえ(29)も、「ゴミは増えていませんし、石たちは思い出と一緒に大切にされています。拾った人がまた願い石を作ってくるから、お守りみたいな連鎖になっているんです」と微笑む。

この動きには、地元の小学校も参加。3年生のクラス全員が自然の石にそれぞれの夢や感謝のメッセージを描き、校外学習で山に贈った。児童の草間陽太くん(8)は、「大人の人が石を見てにっこりしてくれたらいいな」と話す。さらに専門家の岩崎春美(山岳心理研究者)は、「こうした気持ちのリレーは、自然と人のつながりを実感させてくれます。山は黙って人を受け止めてくれる存在。この優しい習慣が広がれば、地域に新しい絆が生まれることでしょう」と語っている。

いま、御嶽山の岩場は、小さな願いが静かに寄り添う特別な場所となりつつある。登山者たちは道すがら、この“願い石”たちにそっと手を重ね、見知らぬ誰かの言葉と優しさに微笑むのだ。「山は皆のもの。だから、皆の小さな幸せが集まってほしい」と南雲さん。御嶽山を歩く人々は、石たちとともに今日も自然の恵みに感謝の気持ちを重ねている。

コメント

  1. 子どもが小学生なので、この記事に出てくるみたいに学校で願い石を作ったら素敵だなって思います。みんなの優しさと自然への感謝の気持ちが込められていて、なんだか胸があたたかくなりました。こういうプロジェクト、全国に広がったらいいなぁ。

  2. 近くに住んでいる者です。御嶽山にはよく散歩に行きますが、こういう優しい取り組みが始まっていると知って嬉しいです。普段何気なく通り過ぎていた場所も、石の一つ一つに誰かの願いが乗っていると思うと、これから足元を見るのが楽しみになります。

  3. 受験勉強中でメンタルやられそうな日も多いんだけど、“がんばれ”って石をそっと置いてくれる人がいるって思うと、不思議と元気出そう。今度山登りに行ったら、自分も願い石書いてみたいな。

  4. 80歳になるまでにいろいろ登ってきたが、こんな温かみのある習慣は初めて聞いたよ。言葉一つで人の心がほぐれるって、本当に素晴らしい。昔は山でよく手紙をやり取りしたもんじゃが、今は石に願いを託す…時代が変わっても人の優しさは変わらんね。

  5. SNSで写真見て気になってました!みんなでつくる“幸せの輪”って本当に素晴らしいアイデアですね。誰かに応援されたり、応援したりすることで、山の美しさがもっと心に響きます。今度友達と挑戦してみたいです♪