長野県の山あい、小松谷町。この春、人口1500人のこの町に、誰もが自分の得意を持ち寄れる『ひらめきスキル交換所』がオープンしました。町に暮らす大工、編み物愛好家、中学生エンジニア、リモートワーカー、定年後の庭師など、年齢も職業も異なる住民たちが、新しい形の“働く喜び”を響かせています。
“交換所”といっても、物々交換とは趣が異なります。棚には編みぐるみや木工細工、小学生が描いたマップが飾られ、PC越しに全国のリモート案件も掲示。誰もが持つ“できること”や“学びたいこと”をカードに書き、壁一面の『町のスキルマップ』に貼る仕組みです。「例えば、私はExcelが得意。町医者の穂積さんはお菓子作りに興味津々だったので、リモートで経理のコツを教える代わりに、土曜にシフォンケーキのレシピを伝授してもらいました」と、リモートワーク歴10年の井手蒼太さん(35)は嬉しそうに話します。
町役場の川島朋子さん(48)によると、コロナ禍をきっかけに帰郷した若い世代がDX人材として関わり始め、交換所のアイデアが生まれたとのことです。「資格も経歴も関係ない。“好き”や“興味”で繋がるから、おじいちゃんの工事資格と中学生のプログラム知識が一緒になるんです。この町で、スキルは年齢も肩書も飛び越えて循環しています」。ふだん会う機会のなかった世代同士も、学びの輪で自然につながり始めているそうです。
ある日曜、農家の福井ゆかさん(60)が「スマート農機の設定を教えて」と求めると、中学2年生の高松徹也くんが説明役を担いました。お礼に芋汁初心者の徹也くんに、畑でとれたて野菜を使った郷土料理講座を提供。2人のやりとりがSNSで拡散され、「町の未来は多世代でつくるもの」という声がコメント欄を温かく賑わせました。
交換所ができて3カ月。今や約200ものスキルカードが壁を埋め、町外からも見学者が訪れるようになりました。町民の間では「スキルを持つこと」が資格よりもワクワクする自己紹介になるなど、経済の中心が“ちいさな得意”と“相互の学び”にシフト。町内企業の採用フローにもスキルカード制度が導入され、みんなが肩ひじ張らず自分の能力を伸ばせる環境が形になりつつあります。
交換所の一角には「はじめてカード」のコーナーがあり、挑戦してみたい新しい分野を宣言できます。サラリーマンの清水宏樹さん(52)は「長年、普通の会社員だったけど、町で新しいことを学ぶうちに知らなかった自分が見えてきました」と語ります。町の願いは、住む人それぞれの専門知識の芽がのびのび花開くこと。『ひらめきスキル交換所』は、これからも町のリスキリング文化の根っことして、やさしい風を吹かせていきそうです。


コメント
小さな子どもがいるので、こういう町で子育てできたら素敵だなぁと思いました!人と人とのつながりが温かくて、子どもも色々な大人から学べそう。都会にもこういう“交換所”ができたらいいのに。
昔は隣近所で手伝い合うのが当たり前だったけど、現代風のスキル交換もいいですね。年寄りの知恵も若い人の知識も、お互いに役立つ時代になったと思います。こういう町が増えてほしいな。
世代も職業も関係なくスキルで繋がれるって、めっちゃ新しい!自分でもできることが意外とあるんじゃないかって、勇気もらいました!見学してみたいです。
徹也くんと福井さんのやりとり、見ててほっこりしました。うちの町にもアイデア持ち込んでみたくなっちゃう。こういう優しさ連鎖が全国に広がるといいな。
資格も経歴も気にせず、自分の『好き』を武器にできるなんて羨ましい!転職活動ばかり焦ってたけど、小さな得意をもう一度見つめ直したくなりました。素敵なニュースをありがとう。