とある地方都市にて、新しいスタートアップ文化を創出したのは最先端のテクノロジー企業ではなく、築百年の古民家を舞台にしたお茶会プロジェクトだった。若き起業家・室山響太郎(29)は、意外なヒントから新しいベンチャーキャピタルの波を呼び込んだ。
きっかけは、響太郎がたまたま立ち寄った祖母の古民家が「取り壊される」と耳にしたこと。思い出の詰まったその家を残したいと考えていた彼は、ベンチャーキャピタルの世界で磨いたビジネス感覚と地域の温かな力を組み合わせ、「うたたね茶房」というスタートアップを立ち上げた。“どんな人でも午後のひと時、ふらりと訪れ、お茶菓子と共に思い思いの話をシェアできる古民家スペース”というアイデアだ。
プロダクトマーケットフィットに苦しむ中、響太郎は地域の高齢者や子育て世代、近所の学生たちを巻き込み、アイデアを一緒に磨き続けた。“仕事帰りに少し寄り道できる”“小さな悩みも誰かが聞いてくれる”場所として少しずつ評判を呼ぶと、地元のベンチャーキャピタル「七色ナレッジ」からの投資も決まり、地域コミュニティとスタートアップ文化の幸せな融合モデルと注目されはじめた。
ユニークなのは、毎週末に開催される“お話くじ引き茶会”だ。参加者が小さな箱から話題くじを引き、初対面の人とそのテーマについて語り合う。SNSでも「初めて会ったのに、子どもみたいに笑ってしまった」「出会いの場以上のものをもらった」とハッシュタグ #誰かとお茶会 の口コミが広がった。
“お客さん”と“主催者”の境界が自然と消えたことで、まちの子どもたちが新商品の梅干し羊羹を考案したり、高齢の利用者がスマート決済端末の説明をするなど、世代や背景を越えた相互サポートも生まれている。専門家の阿部ひかる准教授(地方経済学)は、「エコシステムとして理想的。小さな偶然や人のやさしさが次のイノベーションの火種になる」と評価。この春、響太郎たちの「うたたね茶房」モデルが他県にも広がろうとしている。“街を灯すスタートアップ”は今日もお茶の香りに包まれている。



コメント
子育て中の身として、こういう安心して子連れで行ける場所ができたのは本当にうれしいです。お話くじ引き茶会、親子で参加してみたい!
私も昔、町内でよくお茶飲みサロンをしていたので、とても懐かしい気持ちになりました。若い人と自然に交流できる場が増えるのはありがたいですね。
うちの大学にもこんな場所あったら絶対通う〜。世代とか肩書き関係なく話せるの、今の時代すごく大事だなって思いました。
ご近所にこうした取り組みができて、街全体が明るくなった気がします。古民家が新しい場所になるのって、なんだか嬉しいです。
フィクションとは思えないくらい素敵!私もいつか、うたたね茶房みたいな場所をつくってみたいと夢が広がりました。