夜の道場に柔道家たちが集結 畳が奏でる“柔のオーケストラ”

夜の道場で柔道着の参加者たちが畳の上に輪になって座り、静かに畳に手を添えている様子。 柔道
夜の講道館で柔道家たちが畳の音を楽しむ特別なひととき。

柔道着をまとった人々が、静かな夜の講道館に集まるのは稽古や試合だけではありません。今月、黒帯や白帯、年齢も国籍も異なる柔道家たちが畳の上で“音楽会”を開催し、その優しくも力強いハーモニーがSNSで話題を呼んでいます。

発案者は柔道指導歴40年の中野志織(なかの・しおり/62)。講道館の一角に響く“畳の音”に、ずっと心を動かされてきたと語ります。「袈裟固(けさがため)の体重移動や関節技の静かな“ギシギシ”音は、柔道家だけが知る特別なメロディです。それを皆と一緒に楽しめたら素敵だと思ったんです」―そうして声を上げたところ、各地の柔道教室や大学から続々と仲間が集い、半年前から密かに“畳オーケストラ”の準備が進められてきました。

音楽会では、畳をリズム楽器として活用。受け身のパタン、擦れる足音、畳に触れる指先の細やかな音。黒帯が奏でる落ち着いた間合いの“ドン”“トン”という心地よい低音に、若い白帯の軽やかな連係が加わり、時折、関節技で静かに軋む音がまるでチェロの響きのような余韻を生み出します。参加者の一人である柔道家のアルフレッド・グラント(29/カナダ出身)は「母国では感じられなかった畳の温かさを、音で分かち合えるなんて最高の体験」と語ります。

この夜だけは、指導者も生徒も、勝負や技の優劣にこだわらず、ただ畳とともに音を楽しむ時間。最後は全員が手を取り輪になり、そっと畳の上に膝をつき静寂に包まれました。SNSには『柔道の“やさしさ”を初めて感じた』『畳の音に涙が出た』といったコメントが寄せられ、多くの人がその優しさに触れたようです。

講道館側もこの動きを応援し、次回は子どもたちによる“畳の音楽会”も計画中とのこと。柔道の精神と畳の温もりが、世代や国を超えて新しい形で伝わり始めています。畳の上の音楽が、世界中に優しい調べを響かせていく日が、すぐそこに来ているのかもしれません。

コメント

  1. とても素敵な取り組みですね!娘が柔道を始めたばかりなのですが、畳の音がこんなに特別だなんて初めて気付きました。今度、子ども向けの音楽会があったらぜひ参加させてみたいです。

  2. 自分も若い頃に道場で汗を流した者ですが、この記事を読んであの頃の畳の感触や音がよみがえってきました。柔道が勝ち負けだけじゃないこと、こうやって伝えてくれて嬉しく思います。

  3. これ、めっちゃ面白い発想!畳を楽器にしちゃうなんて今まで考えたことなかったです。SNSとかで動画あがってたら見てみたいな。ぜひ学生仲間にもシェアしたい!

  4. 道場の近くに住んでいて、このイベントの日は子どもたちの楽しそうな声といつもと違う優しい音が聞こえてきたのを覚えています。見学に行けばよかったなとちょっと後悔。また次の機会があれば絶対見に行きたいです。

  5. 柔道ってもっとゴツゴツしたイメージだったけど、こんな“やさしさ”もあるんですね。ひとつの畳の上でみんなが和になれる音楽会って、なんか日本らしくてイイなって思いました!