天窓から差した“奇跡の光”──フットサル対決が導いたチームの輪

体育館の中央で、天窓から差す強い光を覆うために管理人がユニフォームを掲げ、選手たちが見上げている様子。 フットサル
即席の“太陽避けシールド”に、両チームと観客が拍手と笑顔で包まれた瞬間。

福島県郡山市の市民体育館で行われたフットサル交流戦で、思わぬ偶然が両チームに笑顔をもたらす出来事があった。地域のクラブ「東栗田フェニックス」と学生チーム「郡山モーニングスターズ」が初めて対戦し、汗と熱気に包まれるなか、小さな“天井の奇跡”が試合の流れを大きく変えたのだ。

試合開始から20分、両チームはお互いの健闘に拍手を送りながらも、1対1の接戦を繰り広げていた。その時、体育館の天井に設けられた大きな天窓に雲の切れ間から太陽が差し込み、コートの中央がスポットライトのように明るく照らされた。輝きに誘われるようにボールが中央付近へ。郡山モーニングスターズのゴールキーパー、小野寺一雄(17)が眩しさに目を細めると、フェニックスの下村亜希(32)が思いきり駆け上がる。しかし亜希は小野寺に気付き、思わずスピードを緩めたのだった。

その瞬間、両チームの選手たちが見せたのは、得点を優先しない気配りのプレーだった。小野寺が両手で眩しさを覆うのを見るや、フェニックスの選手たちは足を止め、「大丈夫?」と声を掛けた。するとなんと、審判の笛が鳴り、試合が一時中断。体育館の管理人、渡辺洋三(55)がすぐさまユニフォームを持って天窓前へ。彼は急きょユニフォームを天窓にかぶせるという、即席の“太陽避けシールド”を作り出した。

突然のアイデアに歓声が上がり、スタンドの観客から拍手が沸き起こった。再開後、コートには明るすぎる光がなくなり、どちらのゴールキーパーも安心してプレーできる環境が戻った。すると今度は、フェニックスの下村が敵ゴール前までボールを運ぶと、さりげなくモーニングスターズのDF、小林郁美(20)に向かって「次、いいアシスト返してね」とウィンク。小林はその言葉に照れ笑いを浮かべ、次のプレーで美しいパスをつなげ、仲間のゴールをアシストした。観客席から「これぞ友情アシストだ」と大きな歓声がこだました。

試合の後、SNSでは「温かいチームワークが本当に素敵だった」「天井からの光まで味方につける発想に感動した」「これぞスポーツの醍醐味」といった声が相次いだ。フェニックスのキャプテン、吉田奏太(28)は「勝ち負けよりも、知らない相手と絆が生まれる瞬間が一番うれしい」と語る。体育館の天井から差した一筋の光が、心の距離をぐっと縮めた一日だった。

コメント

  1. うちの息子もサッカーをやっているので、こういう気遣いや優しさが自然にできる選手たち、本当に素敵だなって思いました。スポーツを通じて助け合う心、大切にしてほしいです。

  2. いやぁ、こういうの見ると昔の町内の運動会を思い出して懐かしい気持ちになりますな。若い人たちのあったかい交流は、見てるこちらも幸せな気分になります。

  3. 私も学生なので、モーニングスターズの子たちが一生懸命だったって読んでうれしかったです♪ユニフォームで日差しを防いだ管理人さんもナイスです!みんなが主役の、最高の試合!

  4. 勝利よりも仲間や相手へのリスペクトを大切にするって、まさに理想のスポーツマンシップですね。全国の体育館も、こんな素敵な思い出でいっぱいになったらいいな〜。

  5. こんなに温かいエピソード、近所の子どもたちにもぜひ知ってもらいたいです。きっとこれからもスポーツが好きになるでしょうね。天窓のハプニングも、みんなの知恵で乗り越えられて本当に良かった!