色とりどりの花壇が立ち並ぶ中央公園で、まだ背の小さなアプリ開発者たちが最新作の発表会を開いた。年齢は小学校3年生から中学1年生まで。けれども彼らの手の中には、まぎれもなく自分たちで作り上げた“街のみんなを笑顔にする”モバイルアプリが光っていた。特別なコードを書かなくても、誰もがアイデアを現実にできる――そんなノーコード&ローコードの波が、今年は思いがけない場所に咲いた。
今春、市内のカメオ台団地で始まった子ども向けの“やさしい開発教室”。主催したのは市立図書館の司書・田園美沙子(45)だ。日々の読書会とは一味違う、新しいつながりを作りたいと企画したのが、ビジュアル開発ツールによるアプリづくりだった。“難しいことなし、やりたいことをどんどんカタチに”が合言葉だ。「自分たちの手で街を少し楽しくできるって知った時、みんな目がキラキラしたんですよ」と美沙子さんは微笑む。
最初のプロジェクトは『フラワーダッシュ』。これはドラッグ&ドロップで好きな花や樹木、動物アイコンを配置できるダッシュボードアプリ。ユーザーが自分だけの『理想の公園』を作り、位置情報で街のお花スポットと連携。“ここに新しい花壇をつくりたい”とボタンでリクエストすると、近所のガーデニンググループや商店街に自動通知が届く。「お年寄りが『ここはチューリップが似合うよ』って教えてくれたり、一緒に花を植えるイベントにつながりました」(小学4年生・木崎ケン太さん)。
子どもたちはテンプレートを使いつつ新機能をどんどん追加。雨雲レーダーや季節ごとの植物カレンダー、近隣の手作り市マップも実装した。難しいテスト自動化や公開作業もボタン一つ。今ではアクティブユーザーが1200人を超え、図書館の一角に“バーチャル花壇”のリアルタイムモニターまで設置されている。SNSには『毎朝このアプリを開くと元気が出る』『孫と一緒にデジタルお庭作り』といったコメントが続々と寄せられている。
「子どもも大人も、得意なことや違いを持ち寄れば、街はどんどん面白く、優しくなっていく」と、司書の美沙子さん。来月には、市民みんなで作る“やさしい道案内アプリ”にも挑戦予定だという。地面にしっかり根付いた市民開発者たちの芽吹きが、今日も都市を明るく彩っている。



コメント
うちの娘もこの教室に通っています。パソコンが得意でない私でも、子どもたちが楽しそうにアプリを作っている様子を見ると、時代は変わったなぁと感心します!地域の人ともつながれるって素敵ですね。
孫に教えてもらって『フラワーダッシュ』を使い始めました。花の場所を教え合ったり、一緒にイベントに参加したりと、昔とは違う交流が生まれて嬉しいです。若い子たちから元気をもらいました。
ノーコードでこんなに素敵な街づくりができるなんて驚きました!子どもたちの発想やパワーに刺激をもらえます。大人だけじゃなくみんなでアイデアを出せる場がもっと増えたらいいなと思います。
最初はどうせ子どもの遊びでしょ?と思ってたけど、実際にアプリの通知で花壇作りに誘われてみんなが集まってきた時は、なんだか心がほっこりしました。こういうの、ずっと続けてほしいです!
この記事を読んで、自分もアプリ作りに挑戦したくなりました。難しそうだと思っていたけど、みんなで作れば楽しいし、街が明るくなっていくのがうれしいです!