少しの勇気と遊び心が、会社の日常を幸せな方向に変えていく。山梨県の自家焙煎コーヒー会社『わかばベリー珈琲合同会社』が昨夏から始めた“かるたアワー”は、社員全員が自分らしいキャリアパスをつくるきっかけとして、今、全国の働き方改革ファンの注目を集めている。
毎週木曜午後3時、コーヒーの甘い香りが社屋に満ちると同時に、小会議室からにぎやかなかるた取り大会がスタートする。参加するのは、ロースターの秋月ひなた(29)をはじめ営業から物流、経理まで職種を問わない全社員10人。札には「自分の得意なこと」「この一週間で誰かに感謝したいこと」「もし2年間自由に仕事できるなら?」など、キャリアや想いにまつわるお題が並ぶ。
札を取った社員は、その場で感じたことや挑戦したいことを話し合うのがお約束。最初は照れながら参加していた社員たちも、今では「意外な一面を知れるのが本当に楽しい!」と笑顔いっぱい。秋月は「コーヒーの焙煎だけでなく、お客さんとのイベント企画にも挑戦したい」とカードを手に語り、一昨年未経験だった若手の西脇海斗(23)は「人と話すのは苦手だったけど、かるたで自分の得意に気付けた」と自信を覗かせる。
この“かるたアワー”は、社長である南雲俊也(38)の“みんなが自分の物語を大切にできる会社にしたい”という想いから始まった。定期的に自分と向き合い、他人の夢にも耳を傾ける時間が、社員同士の信頼や共感を深め、日本茶農園とコラボした新商品や、地域の小学生向けキャリアワークショップなど、新しい挑戦の原動力にもなっている。
うれしい変化は報酬制度にも波及した。今年度からは“やさしさポイント”導入。「困っている同僚を手助けした」「得意を活かして月替わりワークショップに参加した」など、目には見えにくい温かい行動を評価対象とし、ポイントに応じてコーヒー豆や休日手当がプレゼントされる。SNSでは「会社のやさしさが可視化されてて素敵!」と話題に。地域の人事コンサルタント・高坂彩実(44)は「人的資本経営に温もりが加わるシステム。他社にも希望が広がってほしい」と太鼓判を押す。
秋月は「この場所で、自分の夢がまたひとつ増えました。いつか世界中の人と“やさしさかるた”ができたら」と穏やかに微笑む。小さな会社の小さなアクションが、今日も誰かのウェルビーイングをあたたかく照らしている。



コメント
子育てしながら働いている身として、こういう優しい取り組みは本当に素晴らしいと思います!「ありがとう」や「得意なこと」をみんなでシェアできる会社、ステキです。うちの子の学校でもやってほしいくらいです。
わしらの時代には考えもつかなんだが、こういうやわらかい雰囲気の会社がもっと増えると若い人も働きやすかろうなあ。かるたも懐かしくて、思わずにっこりしてしまいました。
記事読んでちょっと感動しました。就活中なんですが、こういう自分たちの想いを大切にできる職場で働きたいなーって本気で思いました。やさしさポイント、すごくいいアイデア!
わかばベリー珈琲さんの前、よく通ります!以前より社員さんが明るくなった気がしてたんです。こんな素敵な取り組みがあったんですね。地域にも温かい風が吹いてきそうで嬉しいです。
こんな会社で働いてみたい…!やさしさやたのしさが、ちゃんと評価されるのって本当に大事だと思う。大人になっても、みんなで遊べる時間があるのって幸せそうだな〜。