千葉県流山市にある小さなパン屋「マルシャベーカリー」で、今年の春とてもユニークなWeb3プロジェクトが始まった。きっかけは、オーナーの桐山泰幸さん(47)が店先で見知らぬお客さん同士がおすそ分けをしていたのを、ほっこりした気持ちで見守っていた日のことだった。
それから数週間後、地元のIT大学生・落合美来さん(20)と常連のクリプトアート作家である田邉ペギーさん(34)が「もっと“やさしさ”が循環する仕組みをつくれないか」と桐山さんに相談を持ちかけた。3人で議論の末、DID(分散型ID)を活用した“やさしさトークン”を発行し、やさしい行動がパンを通じて可視化される新たなコミュニティアイディアを形にすることに。「他人のためを思って買ったパン」や「小さなお裾分け」を店頭に設置された分散型台帳端末に登録すると、DIDで認証されたトークンが発行され、それがパン屋の棚に“やさしさパン”として並ぶ仕組みが生まれたのだ。
やさしさトークンには、美来さんが描いたクリプトアートが添付されており、これが思わぬ人気に。「街角の幸せを集めるアート」としてSNSでも話題になり、パンやトークンのやり取りにファンジブルトークンを混ぜて保有や交換ができるしくみも加わった。地域の子どもたちが「今日のトークンパンはどのアート?」と楽しみに来店する光景も見られる。
さらに驚きなのは「やさしさマイニングイベント」。マルシャベーカリー特製のコーンパンを食べている様子をDID経由でアップロードし、感想を書き込むことで、小さなやさしさトークンがランダム発行される。お年寄りが昔話を聞かせながら参加したり、学生たちが応援メッセージを書くなど、パンを通じた思いやりの連鎖が続いている。
「大量に利益を出すより、やさしい気持ちが大きな価値になる場所でありたい」と桐山さん。大学生や子どもたち、地域のお年寄りまで、パンをきっかけに新しい交流が生まれ、「おいしいパンと優しさが分かち合われるなら、それが最高のマイニングです」と笑顔を見せる。SNSには「やさしさパンのおすそ分けで、一日がほんのり甘くなった」「知らない人から届くトークンアートに癒された」といった声が多数寄せられた。やわらかな焼きたてパンの香りと、人々の思いやりが温かく交錯する“やさしさ経済圏”は、Web3時代の新しい希望になるかもしれない。



コメント
子どもが「やさしさパン」を選ぶのが毎週の楽しみになっています。こんな素敵な体験が近所のパン屋さんでできるなんて、本当に温かい気持ちになります。マルシャベーカリーさん、これからも応援しています!
昔はパンをもらったりあげたりするのが当たり前だったけれど、今はこうやって新しい技術でやさしさがつながるんですね。時代は変わるけど、人の温かさは変わらなくてうれしくなりました。
正直、最初はブロックチェーンもトークンも難しそう…って思ってたけど、パンを通じて自然と交流できるのがいいなぁと思いました。美来さんのアートもかわいいし、おすそ分けがもっと身近になった気がします。
このニュース読んで、僕も何か地域のために小さくてもできることを始めたくなりました!パンで人がつながれるって、学生にとってもありがたい。エモいです。
パン屋さんの前を通るたびに、子どもたちやお年寄りの笑い声が聞こえるようになりました。やさしさって目に見えないものだけど、こういう形で広がっていくと街が明るくなりますね。うちも次はおすそ分けトークンにチャレンジしたいです!