年に一度だけ現れる、笑顔と音楽が響きわたる特別なステージ。今年、栃木県北部の田園町で、地元小学生による心温まるワンマンライブが開催された。抽選ではない“ご招待”方式で集まった観客たちとバンドの子どもたちの間に、忘れがたいひとときが生まれていた。
このコンサートを企画したのは、小学5年生のバンド『タンポポーズ』のリーダー、杉浦きらり(11)。きらりさんは、祖母が思い出して涙を流しながら語る昔のコンサート話に胸を打たれ、「町の高齢者にも、もう一度“キラキラした時間”を過ごしてほしい」と思ったという。メンバー全員の賛同のもと、町内の70歳以上の方50名を特別に最前列へご招待。“本人確認”はメンバー手描きの招待状と、緑の手作りバッジが目印になった。
当日は早朝から商店街のみなさんや町の中学生ボランティアも運営をサポート。駅前にはカラフルな手作り看板が並び、物販ブースでは町の福祉作業所とコラボしたオリジナル缶バッジや手拭いが飛ぶように売れた。会場は一部車椅子の対応を目指し、段差にスロープを敷くといった工夫も。会場入り口のチケット担当は、きらりさんのお友達でダブルリコーダー担当・横山ひなた(11)で、「おじいちゃんもおばあちゃんも、ようこそ!」と元気よく出迎えた。
14時ちょうどに幕が上がると、町の人々の温かな歓声が沸き起こる。カズーやオカリナ、カホンの優しい音色が響き、アンコールでは最前列の高齢者も手拍子やダンスで応え、世代を超えた一体感に包まれた。『タンポポーズ』のオリジナル曲「また会おうね、春の庭で」では、自然と涙をぬぐう姿も多く見られたという。
SNSにも「小さな列だけど、人生いちばんの最前列経験でした」「子どもの優しさに勇気をもらった」といった投稿が相次ぎ、町外からも「うちの地区でもやってほしい」との声が寄せられている。町のコミュニティセンター運営補佐の田村和則(48)は、「コンサート後、招待されたみなさんの表情が、来た時よりうんと若返って見えました」と語る。来年も“奇跡のワンマンライブ”を開催しようと、早くも子どもたちの間で密かな準備が始まっているようだ。


コメント
私も最前列で聴かせてもらいました。本当に夢のような時間でしたよ。子どもたちの明るい笑顔と素敵な演奏に、心まで若返った気がします。ありがとう、タンポポーズ。
手伝いで参加しましたが、みんなのあたたかさに自分も元気をもらえました!来年も絶対お手伝いします!
読んでて涙が出ました。うちの子もタンポポーズのお兄さんお姉さんみたいになってくれたらうれしいです。町全体で支え合うって、やっぱり素敵ですね。